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紅茶国C村の日々

「コンビニ人間」を読んだ。

これは姉からじゃなくて、メグ(娘、仮名)に頼んで、サンディエゴまで持ってきてもらいました。いつも芥川賞が発表になるたびに、ニュースなどでほんのすこし作品について知ることしかできず、実際の作品を読むためにはやっぱりどうしてもこれ(↓)ですよね。

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とても面白く読めました。上手に書いてるなあとも思いました。「虚実皮膜」という言葉について考えさせられました。作者の実話のような、そうでないような、上手にそれが練りこんであるという感じでした。そして何度も「吹き出し笑い、クスクス笑い」をさせられた作品でした。

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あえて、一か所、印象に残っているところを引用させてもらおうとおもいます。作品のはじめのほうで、主人公の私はちょっと変わった(奇妙がられる)子供だった、そうです。

小学校に入ったばかりの時、体育の時間、男子が取っ組み合いのけんかをして騒ぎになったことがあった。
『誰か先生呼んできて!』
『誰か止めて!』
悲鳴があがり、そうか、止めるのか、と思った私は、そばにあった用具入れをあけ、中にあったスコップを取り出して暴れる男子のところに走って行き、その頭を殴った。
周囲は絶叫に包まれ、男子は頭を押さえてその場にすっ転んだ。頭を押さえたまま動きが止ったのを見て、もう一人の男子の活動も止めようと思い、そちらにもスコップを振り上げると、
『恵子ちゃん、やめて!やめて!』
と女の子たちが泣きながら叫んだ。
走ってきて、惨状を見た先生たちは仰天し、私に説明を求めた。
『止めろと言われたから、一番早そうな方法で止めました』
先生は戸惑った様子で、暴力は駄目だとしどろもどろになった。
『でも、止めろって皆が言ってたんです。私はああすれば山崎くんと青木くんの動きが止まると思っただけです』
先生が何を怒っているのかわからなかった私はそう丁寧に説明し、職員会議になって母が呼ばれた。
なぜだか深刻な表情で、『すみません、すみません……』と先生に頭をさげている母を見て、自分のしたことはどうやらいけないことだったらしいと思ったが、それが何故なのかは、理解できなかった。


上を読んでいた時、「親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。」とそっくりじゃないか、と思わずにはいられませんでした。

主人公はかなりの部分が作者の分身らしく思われるけれど、どこまで事実で、どこからがフィクションなのでしょう?おそらく100%の写実でないとしても、かなりリアルな感じの描写が続き、とても楽しませてもらいました。誇張も大ありで、喜劇として大成功。
Commented by konatum at 2016-11-06 19:44
こちらに居る私よりも沢山読まれてますね。

読書の秋だというのに、読まなきゃね、です。
Commented by agsmatters05 at 2016-11-07 06:32
小夏さん、
私も、久しぶりなんです。本を読むこと。アイパッドやラップトップの情報を「読む」のにいつもずいぶん時間を取られてました。あとしばらく、いただきものの本たちを読み終えるまで、読書三昧しようと思っています。でもなかなか、時間がとりにくいですよね。とくにね、ほら、夜な夜なお出かけするもんだから…。(笑)
by agsmatters05 | 2016-11-06 09:43 | 本を読んで | Comments(2)

紅茶国で(元)日本語教師(今もちょっとだけ)。身の回りのいろんなことを気ままにつづっていきます。日本語教育のほかに、イギリス風景、たまには映画や料理や本やニュースや旅や、家族のことなど。

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