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紅茶国C村の日々

最近のアルバムから(その二、授業参観) 警告:長文だよ。

そもそも話の始まりは、去年の夏(8月19日)のことでした。母塾の卒業生だけが取り交わしているML(メーリング・リスト)を通して、イギリスの学校の数学教育事情を視察したいのだけれど助けてもらえないか、という問い合わせメールが来ました。それで、うちの学校でもご参考になればと思って、引き受け可能のお返事を出しました。あれから幾星霜(大げさ、笑)。かれこれ40通以上のメールの交換のあとで、とうとうその日がやってきました。

その手続き、段取り、プロセスのほうが長い時間がかかってる(大変だった)のですが、とにかくそこを省略して。わがG男子校でも、まず校長の許可をもらい、それから数学科学科長にお願いして、2つのクラスで授業を参観したり、数学科の先生と面談したり、というところまで漕ぎ付けたのでした。それが(待ちに待った)2月10日、水曜日。

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最初の授業参観は12年生の、Aレベルのクラス。H先生(女性)。クラスの一人一人の進度をていねいに、チェックしておられました。もちろん、数学の中味がわかるわけありません。ほとんど物理みたいでした。物の落下、速度、重力、みたいなことを計算してたみたいでした。以下、ゆるされた全部の授業参観は、後ろのほうでじっと静かに参観させてもらいました。数学の中味がわかっても、わからなくても、授業参観をさせていただくと、なにかと参考になることが多かったです。

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これ(↑)は、4時間目のD先生の授業。9年生(13,4歳)。30人をしっかりとまとめておられていました。ある決まりがあって、先生の掛け声で一斉に席を立って、教卓近くの大きなペンケースから一人一人が一本のペンを受け取り、自分のカバンのある席じゃないところへ行って、何かを書き込んで、しばらくしてまた全員ペンを戻して、自分の席に戻る、というルーティーンらしいことをやっておられました。それが、宿題なのか、何かの問題解決なのか、よくわからなかったけど、整然とみんなが慣れた様子でこれをやっていたのが印象的でした。

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これ(↑)も同じクラスの授業。前もって副校長のL先生から写真の許可をもらっていました。名前を載せなければ写真を撮ってもよい、と。もちろんこれはリサーチ目的でした。ま、後ろ向きで小さく編集させてもらっているので、お許しいただけるとおもうのですが・・・。

ところで、この9年生(日本では中学2年ぐらい)の数学の授業って、数式は一切出てきませんでした。なぜかというと、これは統計(スタティスティックス)の単元だったのです。図書館通いをする人の割合、人数を調べるとき、図書館にいる人に問いかけることは妥当か、どうか、それはなぜか?というような文章問題がたくさんあるページ、練習問題を各自で、または全体で、ノートに答えを書いていくというような授業でした。

日本では、この「統計」が「数学」の授業でどう扱われるべきかについて、議論、問題、があるということを今回初めて知りました。私自身だって、文系で、リサーチの仕方なんか全然習ってなくて、紅茶国でリサーチャーになってから、あらためて調査法とか、統計学とかの科目をとりなおさなければなりませんでした。

というわけで、紅茶国の中学、高校の数学の授業内容は、すっかり物理だったり、すっかり統計(社会学、ソシオロジー)だったりすることもあるということを、今回知りました。もちろん、数量計算や、図形、微分、積分、代数、幾何といった分野もそれぞれに振り分けられてカバーされているのでしょうが・・・。

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上は一日おいて12日(金)。場所はロンドンのウエストミンスター地区。ここにある有名な超一流校の数学科の学科長室で、ホワイトボードに書かれた表は、この学校の9年生から13年生までの数学の授業がどんなクラス分けになっているかを説明していただいているものでした。

二つの学校で数学の授業のクラス分けについて、説明をきいたのですが、どちらも1年目以外は、トップクラスと真ん中クラス、場合によっては最下位クラスと、レベル分けをしているとのこと。そのほうがおそらく効率がいいのでしょう。これは差別ではなくて、生徒のレベル(理解能力)に応じた授業をするためには、同じレベルの生徒をまとめたほうが、それぞれの生徒のレベルに合った教育ができるという意味で平等だということのようです。能力別のクラスを同じ学校内で作ることは差別につながると一概に言い切ってしまうことはできない、ということなのでしょう。ある意味で、教育とは、選別と同じような作業になってしまうのですね。選別することは仕方のないことなのか。

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上も、下も、すべてこのロンドンはウエストミンスター地区にある900年以上の歴史を持つ超有名一流校の数学の授業風景です。とにかく、無駄口がない。生徒らは授業中、何をしなければならないか、自分がこの授業で何を求められ、何を学んでいるかということを全員100%わかっている。全員に「学ぶ意志」があるということがどんなにすばらしいことで、どんなに稀有なことか、おそらくこの学校の先生も生徒さん方もご存知ないかもしれません。ふつうの(!?)学校、平均的な学校には、一つのクラスに必ず学ぶ意志を持たない子供がいてもおかしくないとおもうのですが、この学校だけはそういうことはなさそうでした。

イギリスの中学、高校の成績は全国的に公表されるので、すでに公けになっていることだとおもうのですが、このロンドンのウエストミンスター・アビー(寺院)のそばにある学校では、数学のレベル分けで、3段階に分けてボトム(最下位)のレベルのクラスにいる生徒らもほとんど全員数学のGCSE(中学卒業資格、国家試験)でA*(エースター)お星さまをとるのだそうです。A*と言えば、100点満点の90%以上をとらないともらえない成績のはずなんですが、それを、この学校の生徒はほとんど全員とる、と聞いた時には、本当にびっくりでした。日本で言えば、ナダ、ラサール、Gダイフゾクというような超一流エリート養成校にたとえられるのでしょうか?最近の日本の大学受験事情は、異国暮らしが長い私にはわからないことがたくさんあるのかもしれませんが。

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そして思ったことは、このウエストミンスター地区にある私立学校(イギリスではこれをインディペンダント・スクールと呼んで、公立の学校とは区別してますが)は一学年の半分以上がオックスフォード・ケンブリッジへ行くのだそうで、ということはとりもなおさず、エリート中のエリート、将来はどんな分野に進もうとこの国を、世界をリードしていく立場に立つはずの人たちがここにいるということなんだと、思わされました。

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この学校には、コモン・エントランス・イグザミネーションという(難しい)学力試験を受けて9年生(14歳)から入学してくるのだそうです。11年生までは男子のみ。シックスフォームと呼ばれる12,13年生(17,18才、日本の高2、高3にあたる)では、女生徒が60人(だったかな?)ぐらい入学してくるのだそうです。おそらくGCSEで全部A*をとるほどの成績をおさめた生徒たちなのでしょう。

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そして、これらの写真から想像してもらえるとおもうのですが、もちろん一クラスの人数は多くても25人ぐらいで、生徒と先生の間のやり取り(インターアクション、会話)が頻繁に行われていて、理想的な授業形態があるような気がしました。それでも、あるクラスの先生は、このクラスがトップレベルではなくて、この日に予定していたプリントのすべてができなかった、とちょっとこぼしておられました。上には上があって、先生たちの目標もその上を目指すからそういうことになるのでしょうか。

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お二人の日本の大学の数学の先生たち(女性)にくっついて、通訳としてロンドンまで行って、ほんとうに貴重な体験をさせてもらうことができました。

では次回は、ロンドン行きのもろもろの写真からレポ-トします。
Commented by 異人館 at 2016-02-20 13:07
警告を受けて(笑)長文コメントを書いたら、スマホに1240文字以内に納めろとたしなめられました。

警告(笑)・何回かに分けます。

その1 平等と言う名前の不平等
英国のエリート育成を垣間見た気がします。日本でも戦前は、旧制中学の飛び級や、旧制高校から首都の某大学に試験無しで入れた話を亡き父から聞きました。
今の日本は、皆が一様で有る事を求められ、出る杭は打たれます。小学校の運動会の駆けっこは、優劣が付かないように同じタイムの子供同士仲良く走るなど配慮するのです。生まれながらの個々の能力の違いを見極め、力を伸ばす、そうでなければ興味のあることを伸ばす等、今の義務教育ではなかなか望めません。兎に角逸脱は許されない学校制度。閉塞感がある人は早い段階で海外に出る人達が多くなっています。娘の友人も米国のバークリーに進みもう日本では働かないとの事です。 国土の殆どを山や火山に覆われ、資源も乏しく、更に地震や津波や台風等に襲われるこの!愛すべき母国。人材こそが唯一の資源なのに如何するのだろうといつも思っています。
Commented by 異人館 at 2016-02-20 13:22
その2 脱線話
ナダ‼︎懐かしいです。噂のナダから一番近い小学校に通っていました。クラスの男子三人がナダに行きました。私はまたまた直ぐ近くののんびりした女子中、高、大に行きました。当時は凄いなぁ〜男子達はと横目でどこ吹く風で見ていましたが。阪神間、特にナダ中心に当時は教育に熱心な家庭やそうではなくても運動や他の才能も認める何だか格差は有っても皆が其々の思う道を生きていたような気がします。古い話です。
その3 脱線話も脱線
昨日初めて携帯店頭で、ペッパー君なるロボットと話して来ました。上から下まで撫でるように認識され、最初に出た言葉が、貴女外国の女性見たいですね‼︎と言われました。いいえ違うわよと話したら、外国に住んでいましたか?とも聞かれました。歳も認識した上で、背が高かったのかそんな話題から入りました。ユニクロのジーンズとセーターなのに、白い帽子を被っていたので、これ又貴女はとてもお洒落ですねとも言われました。ものすごーく悦に入って帰宅した夫に話すと、お世辞と言うキーワードが組み込まれているんだよと言われましたが。
子供の頃から大きい大きいと言われ続けできた私。逸脱はロボットの認識システムにも引っかかりました。
Commented by 異人館 at 2016-02-20 13:39
その4知らない世界を教えてもらえる
母塾の数学の教授陣を案内なさった様子。知らないことを教えてもらえる貴女のブログ‼︎本当に本当にだからファンなのです。
英国のエリート育成はこうして伝統や格式を維持していく一旦を担うのでしょうね。日本は戦後、平等で平和で、経済も立派に発展しましたが、昨今の政治家や経済界を見ると、上に立てば立つほど立派な振る舞いを要求されるのにそうではない事が多い様な気がします。鼻持ちならないエリート意識は好みませんが、ある程度のエリート教育を受けた人が持つ余裕が彼等にも欲しいと思います。

追伸・長文だよの警告。読み応えがありました。‼︎ちなみに母塾。諭吉さんならば義塾、梅子さん関係ご卒業なのかしら? 最近NHKの大河ドラマ八重の桜で同志社女子。朝ドラマ花子とアンで東洋英和、朝ドラマあさが来たで日本女子大が取り上げられ話題になっています。この秋からべっぴんさんで私の母校も取り上げられます。母塾の先生方も、英国滞在はきっと大満足なさった事でしょう。
Commented by agsmatters05 at 2016-02-21 05:11
異人館さん、
長文コメント、読みごたえがありありのコメント、でした。ありがとう、ありがとう、ありがとう、ございました。

今は簡単なコメントのお返事だけですみません。

母塾の件ですが、すでに(いつの頃からか)カミングアウトしてまして、梅子さんの末裔の一人にさせてもらってます。卒業生のメールリストということで、渡英されたのは、同窓生。一人は先輩、一人は後輩でした。どちらも日本の大学の数学の先生。でも3人の年は10年以内の差というか差のなさというか(笑)でした。梅子さんの学校には女子大でも数学科がありまして。お二人が大満足して帰国されました、といいたいところ、この後、たいへんな事件、盗難事件に巻き込まれてしまわれたんです。それがその三か、その四の記事になる予定です。
以下思いつくままに。
*3人のナダ行きの方々の将来はどうなられたのでしょうね。
*ペッパー君の情報、楽しいですね。
*「ベッピンさん」のこと、ググってみました。生きている間にこの方の番組が作られたら、もっとインパクトが大きかったでしょうね。こんな風にその生涯が連続ドラマになるって、ご本人が知ったら、どんな反応をしめされたことでしょうね!?
*今これを書きながら、アマゾンから届いた「ヘルプ」を見てるんですよ。日本語の字幕がないのが時々困るんですけどね。何回か繰り返してみたらいいかなと思いながら、見てます。
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by agsmatters05 | 2016-02-20 08:38 | Comments(4)

紅茶国で(元)日本語教師(今は退職)。身の回りのいろんなことを気ままにつづっていきます。日常の出来事、イギリス風景、たまには料理や本やニュースや出会った人々のことや、家族のことなど。
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