人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

紅茶国C村の日々

秋学期の終わりが近づくと(その2、 お楽しみ会)

学期最後の授業はちょっとしたお祝いムードになる。

紅茶国で日本語を教えている先生たちはきっとこういう言葉を聞いたことがあると思います。
「クリスマスまでは笑うな」って。

これはこの国の先生たちの間で出回っているコトワザ、言い伝えのようなもの。毎年9月に新学年、新学期をスタートして、どの学年のどのクラスも緊張でいっぱいの秋学期。へたに手綱をゆるめると、教室は崩壊、生徒は怠け放題、授業などまったく成り立たなくなるようなことも、もちろん大ありです。笑顔を見せていいのはクリスマスになってからだと。

かくして、12月になり、あと1-2週間で冬休みとなると、誰もかれもが浮かれ始めるのがわかります。ラジオ・テレビがそうですし、町中の飾りつけが変わってきますから、その影響が学校の中に入ってこないわけはありません。どこのクラスでも、DVD上映をしたり、作品発表会をしたり、茶話会をしたり。

今年初めて気がついたのですが、学期最後の週には、どの教室へ行ってもゴミ箱が満杯でした。生徒は教室内で飲食をしてはいけないことになっているので、教室のゴミ箱にあんなにたくさんの菓子箱や包み紙が捨ててあるのは、先生たちが用意して生徒に食べさせたに違いありません。

一度 キャ先生(私の上司)が 7年生(12歳)のホームルームのクラスで、クリスマス前の最後の日、朝の集会の後で教室を出ていく生徒一人一人に、出口のところで Cadbury だったか Rose だったか、小さなチョコ・キャンディーを一つずつ渡しているのを見てしまった(!) ことがあります。(6-7年前のことだけど。)

日本語もそれにならって、いつのまにか、学期の最後はファン・タイム(お楽しみ会)となってしまいました。もっとも遅れているクラス、学習進度がはかばかしくないクラスはそんなこともってのほか、なのですが、放課後の有料のプライベートレッスンの生徒たちには、励ましの意味もかねて、こういう配慮も必要だろうというわけです。

そしてこの時にこそ、日本の味を試食してもらうチャンスなわけでして。


秋学期の終わりが近づくと(その2、 お楽しみ会)_e0010856_11294871.jpg

これも K さんのタクハイのおかげでした。 サッチ・ア・グッドタイミング! みんなで美味しくいただきましたよおお。特に月曜クラスの子達は、韓国海苔一枚にこれを包んでたべさせたら、うおーという感じで喜んでいました。

すし
こちら(↓)は木曜クラスの8年生。一番若い(12,13歳の)クラスです。彼らの希望が、「おすしぃー!」「おにぎりぃー!」「おもちぃー!」「からあげぇー!」というので、この日の朝はたいへんでした。
秋学期の終わりが近づくと(その2、 お楽しみ会)_e0010856_11301831.jpg

生徒たちからのこんな勝手な思い付きのリクエストに全部イエスという必要はないことを、百も承知で、お人好し、気前良し、ノーといえないソフトなティーチャー・ミチは、やってやろうじゃないのと(喧嘩じゃないのに)受けて立ってしまったのでした。もちろん生徒は大喜びでした。

でもね、やっぱり日本の味は日本の味。12,13歳の紅茶国の子供たちにとって、白いご飯粒、黄色(緑)の液体(日本茶)、黒いペーパーみたいな海産物、生まれてから一度も口にしたことがなければ、喜ぶ前に「???」となる子だって、そりゃいるわけです。日本語を習っているからって、みんな日本の食べ物が大好きだということはありえません。でも、そんなことにがっかりする新マイ・ミチじゃありません。、へーき、へーき。全体的には、このプロジェクトは生徒の日本語という科目へのアタッチメント(親近感)を強める効果はあったはず。

秋学期の終わりが近づくと(その2、 お楽しみ会)_e0010856_4333493.jpg

これ(↑) は月曜・放課後の二人だけのクラス。教師に依怙贔屓(エコヒーキ)は禁物ですが、このクラスが一番よく勉強をしてくれて、一番楽しいクラスでした。それに月曜日は隔週でこのクラスだけしか仕事がない。つまり時間に余裕があったので、この際、そばとうどん(この日はそうめんでしたが)の違いを実物で教えたいと思って、オモテナシしてしまいました。

秋学期の終わりが近づくと(その2、 お楽しみ会)_e0010856_4582521.jpg

こんな(↑)写真で申し訳ないですが、これは火曜の放課後クラス。3人の違うレベルの、熱心な日本語学習者のクラス。この写真の横に、3人のにこにこ笑った顔が映っているのですが、それはクリスマスカードと一緒に日本の学校に送りました。この日、3+1(私)の4人で、食べたものは、そうめん、そば、もち、おせんべい、チロルチョコ(Kさん、ありがと)、そして フウセン・ガムと日本茶。このクラスの3人はもちろん日本のものは何でも好き。9年生のW君は、家で八幡巻きも作ったことがあるという日本びいき。食べながらおしゃべりしたこと。
私「Nくん、覚えてる?前にもこの部屋でお餅とお好み焼きを食べたことあったよね。あれはジャパン・クラブでランチタイムだったよね。」
N Yes, I do remember.
私 「あの時、Nくん心配してたよね。先生こんなことしていいんですか?  Are we allowed to do this? って。」
N Oh yes.
私 「カルチャー=文化を紹介するためだっていったよね。」
N That's right、Miss。


で、全部の食べ物を楽しんだ後、教室を暗くして、今学期最後のクラスでは、宮澤賢治の「注文の多い料理店」を、私の朗読、N君の通訳で、W君とAちゃんが観客となって、みんなで鑑賞しました。本は一冊しかないから、ページをプロジェクターでホワイトボードに映してみんなでページを一緒に読みました。こういう手際は生徒のほうがずっといいものです。

秋学期の終わりが近づくと(その2、 お楽しみ会)_e0010856_645914.png


「若い方、太った方大歓迎」というところで、この料理店が変だと勘付いた、とW君もAちゃんも言ってました。

 ”:L}{PO+_)(*&^%*&^%&^%$%$#@#@!

こうして、月曜も火曜も木曜も、お楽しみ会のあとで、冬休みの宿題を確認して解散=さよならしたのでした。今頃きっと生徒たちはみんなそれぞれの家でプレゼントをいっぱいもらって、ご馳走をいっぱい食べて、一年で一番盛り上がるこのクリスマスを楽しんでいること、うたがう余地はありません。
by agsmatters05 | 2013-12-26 08:23 | Comments(0)

紅茶国で(元)日本語教師(今もちょっとだけ)。身の回りのいろんなことを気ままにつづっていきます。日本語教育のほかに、イギリス風景、たまには映画や料理や本やニュースや旅や、家族のことなど。

by dekobokoミチ