2012年 09月 11日
私のロンドン・オリンピック (ダニー・ボイル、オリンピック旗を運んだ人達。)

ダニー・ボイル
だいたい、スラムドッグ・ミリオネアの映画を見た後、長いことその監督がイギリス人だということがピンとこなかった、です。アカデミー賞をもらった画面もテレビで見たけど、そのときはまだダニーボイルという名前も記憶に残ることはなかった。そして、今年の正月のタイムズ新聞で今年一番注目する人に選ばれた記事を見たときも、まだ全部つながってなかったです。オリンピックの開会式の次の日、タイムズ新聞にのった話はちょっと面白いな、とおもいました。
ダニー・ボイルのお父さん、生きていればちょうどこの開会式の日が91歳の誕生日だったそうです。残念ながら、それより1年半まえに亡くなったそうです。フランク・ボイル。

息子ダニーの作品を一番厳しく批評する人だったそうです。14歳で学校を離れ、織物工、後に発電所のボイラー係りをしていた労働者。アイルランド系の厳格なカトリック教徒の家だったそうです。親達は息子ダニーをカトリックの司祭にしたかったけど、司祭になるための面接で、審査官から、「お前は司祭にならないほうがいい」と言われたそうです。そのほうが教会のためにいいという意味なのか、本人の将来のためにいいといういう意味なのか、微妙(笑)。
「スラムドッグ・ミリオネア」の作品でアカデミー監督賞をもらったとき、トロフィーを持って父親に見せに行ったダニーに対して、このお父さんは、スラムドッグの作品が、まあまあいいけど、ダニーのデビュー作(Shallow Grave 浅い墓)ほどの出来栄えじゃない、と辛口批評をしたのだそうです。
左翼思想というよりも、反骨精神を上手に料理できるのが、ダニーの真骨頂という気がします。オリンピックの開会式、世界の祭典、国を挙げてのセレモニーで、日本でいえば、女工哀史のメンバーや、米騒動の一揆の当事者を表に出すような演出振り。だからと言ってセレブや王侯貴族に背を向けるかといえばそういうこともない。オリンピック開会式の芸術総監督に選ばれた感想について、本人はこう言っていたそうです。「(どんな反対にも)つぶされないアイデアを貫くということにかけては自分は定評があるから、この仕事をうまくやれる自信があった」と。
=I thought I had the confidence and status to carry a job like this. I felt I was the right guy to do it because I had the reputation to carry through ideas that are not going to get crushed. (上の写真記事より)
2012 ロンドン・オリンピックの開会式で 登場した人物、作品、物語の数々 - ここでは、ほんの一握りの事例をリストアップしておきますね。(これを調べるのにどれだけ時間がかかったことか。)
(1)ジャロウ マーチ

1936年、北イングランドのニューカッスルの近くのジャロウという街の人たちが、不況で住民の7割以上が失業し、困り果てて、ロンドンのウエストミンスターにある国会議事堂まで行進したという話。このとき、共産党員は参加できなかったそうです。一般大衆は同情的だったものの、首相は次々と同じことがおこるのを防ぐために要請を受け入れなかったとか。この行進に参加した207人は、帰りの汽車賃一人1ポンドを与えられただけで、何も事態は改善されなかったと。2年後の戦争で、武器工場の再開まで仕事もなく、極貧にあえいで次々となくなっていく人たちが相次いだ、と。この人たちの行列が、開会式の一場面となっていた。
(2)フェミニスト運動家たち -有名なエメリン・パンクハースト夫人が始めた婦人参政権運動、その娘とその孫娘も実際に開会式の行進に参加したそうです。
パンクハースト夫人の活動は過激なもので、数度の逮捕をともなった。彼女は10回のハンガー・ストライキを行った。彼女の運動に対する過激なアプローチは婦人参政権論者に支持されず、婦人社会政治連合は分裂した。彼女の自叙伝『My Own Story』は1914年に公表された。彼女はその目標、イギリスでの婦人参政権をほぼ達成して、1928年に死去した。(ウイキピディアより)
(3)NHSの病院の看護婦さんと子供の患者たち -イギリスのNHS(ナショナル・ヘルス・サービス)は誰にでも無料。それを逆手にとって、しょっちゅう病院通いを日課とする人もいて、病院や医者は困ることもあるのだそうです。一方で、国の予算が赤字過多で、財政縮小(オーステリティー)をスローガンにしている昨今ではこのNHSがひどい金食い虫として槍玉に上がったりもするわけです。イギリスが世界に誇る国民無料医療制度も、内実は悪評高い金食い虫のNHSなわけです。最近ではNHSの是非(right and wrong)が議論の的(槍玉)に登ることが多いので、ダニー・ボイルはこれにコメントして、政治的な意図はなかったと言っていましたが。よくよく考えてみると、上の(1)も(2)も含めてかなり政治的にキワドイ、ビミョーなものを集めてます、よね。カンブリアのブルジョア・カップルが疑問を呈するのはその辺なんでしょうか、ね。
(4)イギリスが誇る「産業革命」インダストリアル・レボリューション。これがオリンピックの5つの輪を鋳造するという、話のつながりがうまくできてました、よね。
(5)ティム・バーナーズ・リー(下の写真もウイキピディアから借りました。)

www ワールド・ワイド・ウエブを考え出した人。インターネット(WWW)に特許権をとらず、全世界無料で使えるようにしてくれた人。この人がイギリス人だったんですね。感謝、感謝、感謝。この人がなぜノーベル賞をもらえないのか。そのわけが ↓ に書いてありました。
この人に ノーベル賞を! - ティム・バーナーズ・リーhttp://ja.wikipedia.org/wiki/ティム・バーナーズ・リー
一言で言うと、ズバリその分野がないからだ、というのです。物理、化学、医学、文学 etc と分野別にきっちりと別れているノーベル賞は、その多くにまたがるような貢献をピックアップすることができない。ムムム、だ。
というところで、脱線。そういえばカラオケを作った日本人、井上なんとかという人のことはどうなんだろう? ⇒井上大祐をウイキピディアで調べた。⇒ そこで、オリコンチャート、カラオケ人気ランキングの表を見た。⇒なんと「ヘビーローテーション」という曲がトップに来てる。例のAKBなんとやらだ。⇒それはどんな曲だろうか? ⇒ ユーチューブに行ってみよう。⇒ 「ヘビーローテーション」を見て、聴いた。 というわけで、これではブログの記事はなかなか終わりそうもないですねえ。勉強にはなるし、世の中には知らないことがいっぱいで、知るは楽しみなり、とは言うものの、新しい知識を追い始めるとこれはどうやら終わりのない迷路にはいっていきそうな・・・。
(6)ジェークスピア(真夏の夜の夢)、ウイリアム・ブレイク、ピーターパン、フック船長、ボルデモート、ハリーポッター、チキチキバンバン、メアリーポピンズ、クマのプーさん、「101匹ワンちゃん」のクルエラ・ド・ヴィル(デビル)、「不思議の国のアリス」のハートの女王、Mr.ビーン、ジェームス・ボンド、女王エリザベス、JKローリングさん(ピーターパンの一節を朗読しました、ね。目立たなかったけど・・・。)ほかにおおぜい音楽を担当した人たち(マッカ!など haha)を加えれば、このリストはまだまだ続くのですが・・・(一部省略) ・・・なにしろ、この開会式のテーマは 「アイル オブ ワンダー= 不思議の島。驚きの島。すばらしい(驚異の)島」 なのでした。
(8)モハメド・アリ - たしか アトランタオリンピック(1996年)で聖火の最終走者としての栄誉を与えられた、という記憶があって、え?またアリってありなの?アメリカ人もロンドンオリンピックにでるの?やっぱり英米は親戚づきあいなの、とかかんとか思わずにはいられなかったのですが、
聖火台への聖火の点火者は秘密にされていたが、当日はパーキンソン病に患うモハメド・アリが震える手で点火した。出典は http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%83%E3%82%AF アトランタオリンピック のウイキピディアより。
その後、新聞記事を読んで、そうかやっぱりこの人を呼ぶ必要があったのかもね、、、という考えにかたむきました。そのわけは、ボクサーとしての業績だけでなく、アメリカの人種差別に抗議した人、アメリカのイスラム教徒としての発言、活動が大きそうだ、、、という。
(9)その オリンピック旗を運んだ人達。 とは。

*マリーナ・シルバ(ブラジルの環境活動家、アマゾン熱帯雨林の保護活動をしている、野党(!)政治家。)
*ムハメド・アリ(元ヘビーウエイト級ボクサー、人種差別に抗議してミシシッピー川に金メダルを投げ込んだ人!)
*シャミ・チャクラバーティ(イギリスの人権活動家、「リバティー」の主催者)
*バン・キ・ムン(韓国人、国連事務総長)
*ハイル・ゲバセルラシエ(エチオピアの長距離ランナー、ロンドン2012インスピレーションプログラム大使)
*ダニエル・バレンボイム(東西ディヴァン・オーケストラの共同創始者、アラブとイスラエルの音楽家を合体させた。)
*サリー・ベッカー(ボスニアの戦争で犠牲になった子供たちを救う「モースターの天使」として知られている)
*ドリーン・ロレンス(ロンドンで息子スティーヴンが殺されて、警察の組織ぐるみの人種差別捜査および不当な裁判に抗議し、最終的に真犯人(白人達)の有罪判決を勝ち取ったお母さん、スティーブン・ロレンス・チャリタブル・トラスト(救済財団)をはじめた人。
こうやって見てくると、ものすごく政治的な発言、政治的なメッセージをこめた人選だということが、あらためてうかびあがってきますよね。これが、2012ロンドンオリンピックのオープニングセレモニーの心底にあるメセージだったのでしょうか。あの開会式を見て感動した源泉はこういうことだったのか。
・・・・・・・
そうそう、もう一つおまけ。
ダニー・ボイルが監督したテレビ番組 Trainspotting は英語版ですけど、全編 ユーチューブでごらんになれます。(1時間半)。(これ見てたので、また記事が遅れました。つぎは、「浅い墓」を見たいな。)
http://www.youtube.com/watch?v=Ocsnj1jBZ2k
スコットランドの4人の若者が、ドラッグに走り、マトモに生きられない時をすごす、というつらい話です。ユアン・マクグレガー主演
http://ja.wikipedia.org/wiki/トレインスポッティング
結局、私のロンドン・オリンピックは、ダニーボイルという人との出会い(行き会ってないけど、笑)で始まり、それで終わったような気がします。彼のデビュー作「浅い墓」なんぞをDVD で見る機会があったら、これで、オリンピックも決着できるかも、です。あ、それから、どうしてこの人がオリンピックの開会式のアーティスティック・ディレクターに選ばれたのか、それを選んだ人はだれなのか、それもずっと気になっていたのですが。いつかどこかのニュース・メディアで答えてくれるといいな・・・。
ところで、こういう長々しい記事を書いていた今日(9月10日、月曜日)おりしも、ロンドンでは、オリンピック、パラリンピックの祝勝会みたいな大きな催しがあって、ずっとテレビでそれを見ながらPCの前に一日中座っていました。銀座のメダリスト祝勝会(パレード?)が50万人ですって?ロンドンではその倍ぐらい集まったらしいですよ。要するに、みんな自分たちがやったことにびっくりして、「グレートブリテン、やればできるじゃん、すごいじゃん」と再認識しているスピーチばかりでした。そういうときの英語、アメイジング、ブリリアント、ファンタスティック、インクレディブル、ファビュラス、 グレート、ワンダフル、ウエルダン ・・・・・ ちょっと耳にたこが出そうなほどでした。
閉会式に出て来た人々
ジョン・レノン
フレディー・マーキュリー
イギリス産トップモデル達
スパイスガールズ
ブライアン・メイ
マリーザ・モンチ


