2012年 06月 24日
Nくんと日本語(その2)
(応募して、本選にでるまで)
N 君は、 いつも宿題をバッチリと仕上げるし、先へ先へと日本語の勉強に興味を持ち続けていました。学校の授業以外にも 自分で日本の小学校の国語の教科書や それにともなう文理書院の漢字練習帳を買ってもらい、いつもそれらを持ち歩いて、 ヒマさえあればコツコツとページを先へすすめていました。ロンドンの 三越デパートの地下にある書店にこれらの本を注文するのは、いつも私の役でした。そのたびに、お母さんとメールのやりとりも何度かありました。
その間(かん)、いったいこんな風に勉強に集中できて、尽きない興味を持ち続けて、しかも楽しくそれをやっていられるなんて、そういう子供を育てるご家庭って、いったいどんなご家族、どんなご両親なのかしら、とついつい関心を寄せられていた私でした。
そして、2010年9月から10年生のGCSE日本語クラスがはじまり、秋に最初の父兄会がありました。その夜こられたのは、N君とお母さんの二人だけでした。でも、そういうときに、「お父さんは?」 なんていうことをいちいち問いかけるのは、プライバシーに立ち入り過ぎと思われました。 N 君が一人っ子ということは、その頃には分かっていましたが、さぞかし仲むつまじい3人家族の、いいご家庭だと思わずにはいられない N 君の素直な成長振りでした。あえていえば (失礼ながら) 一人っ子特有の 「ミーファースト」、あまり他人に関心を示さない、という傾向はありましたが、そうは言っても礼儀正しいし、他人に悪さを仕掛けたりしない、かなりシャイなほうでした。自分に課されたことはきちんとやる、他人には流されない、じぶんをしっかりもっている、そういう生徒でした。
10年生が終わった夏休み、2011年の9月のことでした。夏休みの出来事を中心に作文を書いて、GCSE日本語試験のスピーキングテストのために、2分間のスピーチの原稿を用意するように、という課題をだしました。そのとき書いてきたNくんの作文をみて、ドキっとしたことがありました。
その作文には、夏休みにお父さんと南アフリカに行ったこと、それは お父さんが再婚するためだったことが書いてありました。「ミス!(=日本語で センセイ! というのと同じ教師への呼びかけの言葉)、ステップマザーってなんていうんですか?」と Nくん。そして Nくんが書いてきた作文にも、辞書で調べたのでしょう、 「継母」 ということばが 使ってありました。
「うーん、ママハハ という言葉はちょっと古い言葉で、誤解を招きやすい言葉だからねえ」と私はいいました。 「 『ギリの母』 とか、 英語そのままの 『マザーインロウ』 はどうお?」 と苦し紛れに答えておきました。そしその作文には、南アフリカで父が再婚し、その再婚相手の家族の家の近くにライオン公園があり、そのライオン公園に毎日ただで入って、ライオンと遊んだということが書いてありました。
年が明けて、今年の2月ごろ、恒例になっている英国セカンダリースクール(中、高)対象の日本語弁論大会の要綱が発表になるとさっそく私はNくんに募集要項を印刷してわたしました。前の年に、ロレンちゃんの弁論大会に「家庭の事情?親の事情?」で参加できなかったことが、Nくんの弁論大会参加熱に火をつけていたのを知っていましたから。

この弁論大会は、第一次予選は録音による選考だということは前にも書きました。(ここ ←をクリック)
そして5月に予選の結果が発表になると、最終選考に残った生徒は、4人まで本大会のゲストを指名できるといわれました。ふつう両親が参加するので、同学年の友だち二人が一緒に行けるわけです。ただし、主催者はなるべく若い参加者を増やしたい、という考えがあるらしくて、余裕があるときには4人から6人の生徒の参加も無理ではない、というかんじでした。
最初 Nくんは、父と母と、そのパートナーと、再婚相手と、合計4人とも大使館に行く予定だと言っていました。え?と思いました。スピーチの内容は、父の再婚と、その相手の「義理の母の家族の友人」がライオン公園の持ち主で・・・という内容を含んでいましたので、4人の保護者が一同に介するのはどうなんだろう、気まずくはないのだろうか。これが「西洋流」というもので、さばさばと4人でなかよく N 君の発表に臨むことができるんだろうか、、、と私はちょっと気になっていました。
結果的には、お母さんとそのパートナーの方のお二人だけが、大使館に来られたのでした。だから、まだ私はNくんのお父さんにあったことがない、です。 ふだんはA市でお母さんと一緒に住んでいるNくんですが、週末など、ときどきロンドンのお父さんのところに寝泊りすることがあるとは、聞いていました。そして、「楽しい週末だった」ということも時々聞いていたので、Nくんとお父さんとの間はとてもうまくいっているようでした。そして、同時にNくんはお母さんとも大の仲良しで、課外授業の送り迎えや、本の購入など、お母さんのNくんに対する世話、サポートはいつも万全の態勢でなされていました。

(写真は、N 君が書いた GCSEの漢字。最後の復習クラスで、仲間にクイズを出していたもの。ビンゴゲーム。)
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at 2012-06-24 14:13
N 君は、 いつも宿題をバッチリと仕上げるし、先へ先へと日本語の勉強に興味を持ち続けていました。学校の授業以外にも 自分で日本の小学校の国語の教科書や それにともなう文理書院の漢字練習帳を買ってもらい、いつもそれらを持ち歩いて、 ヒマさえあればコツコツとページを先へすすめていました。ロンドンの 三越デパートの地下にある書店にこれらの本を注文するのは、いつも私の役でした。そのたびに、お母さんとメールのやりとりも何度かありました。
その間(かん)、いったいこんな風に勉強に集中できて、尽きない興味を持ち続けて、しかも楽しくそれをやっていられるなんて、そういう子供を育てるご家庭って、いったいどんなご家族、どんなご両親なのかしら、とついつい関心を寄せられていた私でした。
そして、2010年9月から10年生のGCSE日本語クラスがはじまり、秋に最初の父兄会がありました。その夜こられたのは、N君とお母さんの二人だけでした。でも、そういうときに、「お父さんは?」 なんていうことをいちいち問いかけるのは、プライバシーに立ち入り過ぎと思われました。 N 君が一人っ子ということは、その頃には分かっていましたが、さぞかし仲むつまじい3人家族の、いいご家庭だと思わずにはいられない N 君の素直な成長振りでした。あえていえば (失礼ながら) 一人っ子特有の 「ミーファースト」、あまり他人に関心を示さない、という傾向はありましたが、そうは言っても礼儀正しいし、他人に悪さを仕掛けたりしない、かなりシャイなほうでした。自分に課されたことはきちんとやる、他人には流されない、じぶんをしっかりもっている、そういう生徒でした。
10年生が終わった夏休み、2011年の9月のことでした。夏休みの出来事を中心に作文を書いて、GCSE日本語試験のスピーキングテストのために、2分間のスピーチの原稿を用意するように、という課題をだしました。そのとき書いてきたNくんの作文をみて、ドキっとしたことがありました。
その作文には、夏休みにお父さんと南アフリカに行ったこと、それは お父さんが再婚するためだったことが書いてありました。「ミス!(=日本語で センセイ! というのと同じ教師への呼びかけの言葉)、ステップマザーってなんていうんですか?」と Nくん。そして Nくんが書いてきた作文にも、辞書で調べたのでしょう、 「継母」 ということばが 使ってありました。
「うーん、ママハハ という言葉はちょっと古い言葉で、誤解を招きやすい言葉だからねえ」と私はいいました。 「 『ギリの母』 とか、 英語そのままの 『マザーインロウ』 はどうお?」 と苦し紛れに答えておきました。そしその作文には、南アフリカで父が再婚し、その再婚相手の家族の家の近くにライオン公園があり、そのライオン公園に毎日ただで入って、ライオンと遊んだということが書いてありました。
年が明けて、今年の2月ごろ、恒例になっている英国セカンダリースクール(中、高)対象の日本語弁論大会の要綱が発表になるとさっそく私はNくんに募集要項を印刷してわたしました。前の年に、ロレンちゃんの弁論大会に「家庭の事情?親の事情?」で参加できなかったことが、Nくんの弁論大会参加熱に火をつけていたのを知っていましたから。

この弁論大会は、第一次予選は録音による選考だということは前にも書きました。(ここ ←をクリック)
そして5月に予選の結果が発表になると、最終選考に残った生徒は、4人まで本大会のゲストを指名できるといわれました。ふつう両親が参加するので、同学年の友だち二人が一緒に行けるわけです。ただし、主催者はなるべく若い参加者を増やしたい、という考えがあるらしくて、余裕があるときには4人から6人の生徒の参加も無理ではない、というかんじでした。
最初 Nくんは、父と母と、そのパートナーと、再婚相手と、合計4人とも大使館に行く予定だと言っていました。え?と思いました。スピーチの内容は、父の再婚と、その相手の「義理の母の家族の友人」がライオン公園の持ち主で・・・という内容を含んでいましたので、4人の保護者が一同に介するのはどうなんだろう、気まずくはないのだろうか。これが「西洋流」というもので、さばさばと4人でなかよく N 君の発表に臨むことができるんだろうか、、、と私はちょっと気になっていました。
結果的には、お母さんとそのパートナーの方のお二人だけが、大使館に来られたのでした。だから、まだ私はNくんのお父さんにあったことがない、です。 ふだんはA市でお母さんと一緒に住んでいるNくんですが、週末など、ときどきロンドンのお父さんのところに寝泊りすることがあるとは、聞いていました。そして、「楽しい週末だった」ということも時々聞いていたので、Nくんとお父さんとの間はとてもうまくいっているようでした。そして、同時にNくんはお母さんとも大の仲良しで、課外授業の送り迎えや、本の購入など、お母さんのNくんに対する世話、サポートはいつも万全の態勢でなされていました。

(写真は、N 君が書いた GCSEの漢字。最後の復習クラスで、仲間にクイズを出していたもの。ビンゴゲーム。)
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鍵コメさん、えええ?そうなんですか。
また書きますね。
また書きますね。
0
鍵コメさん、また戻ってきました。2人も、3人も、4人も、むずかしさはどの場合でも、どれも同じような気がします。ただ、本人同士がどう思うか、傍で人が見てどう思うかは、まったく別のことになるんでしょうね。Nくんとお母さんは、会話がとてもはずんでいました。
by agsmatters05
| 2012-06-24 00:19
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Comments(3)


