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紅茶国C村の日々

亜蘭君の新聞記事(6月30日、水曜日、バックスヘラルド紙)


もう1週間がたってしまいました。でも記事をスキャンして、ここにお目にかけようと思います。この新聞は週1回発行なので、この前の金曜日(25日)に亜蘭君が記者のインタビューを受けたことはわかっていたので、きっとこの日に記事が載るとはおもっていました。

水曜日はいつもオフの日なのですが、昼休みにコンピューターのトレーニング、VLE (ヴァーチャル・ラーニング・エンヴァイロンメント、インターネットを使って、資料を配ったり、宿題を出したり、宿題をオンラインで提出させたりするプログラム=PC環境)の使い方を教えてくれるというので、のこのこと、わざわざそのために学校まで出かけてきました。

ところが学校につくと、なんとコンピューターのシステムが故障したので、今日のワークショップは1週間延期になったというのです。うーん、ガツン。ミニショック、でした。せっかく来たので、ついでに学校で何かをやってから帰ろうか、と考えて、図書室に立ち寄ってみました。すると図書館の司書のジャスミンさんが、「ミチ、今日のバックス・ヘラルド見た?亜蘭君(実名は別)のことが載ってるわよ。」と教えてくれました。

これは1週間前のことですが、実は、今朝ようやくその記事をスキャンして、このブログ上で長い記事をかきました。2-3時間かけて・・・。ああ、でもそれは、送信ボタンをクリックしたとたん、インターネットが切断されたという画面がでて、すっかり全部消えてしまいました。ウウウと言って泣き崩れたく、いえ、ギャアーっとわめきたくなったほど、悔しいことでした。実際、一人でわめきました。天(特にBTのアンテナのある方向)にむかってアタシの今日の午前中を返してえええ、と叫びたかった、です。

午後VLEのセッションを終えて帰ってきて、また書き直ししてます。電話もインターネットも接続不安定なので、とりあえずワードの画面にこれを書いています。

亜蘭君の新聞記事(6月30日、水曜日、バックスヘラルド紙)_e0010856_8224518.jpg

「日の丸が Jxxx(亜蘭君の実名)を呼んだ。」

亜蘭君は日本語の発音がとっても自然で、なめらかで、英語話者特有のクセがないのです。日本語を教えているとわかるのですが、時々ローマ字読みをする子ども達の発音はとても日本語として不自然になることがあります。亜蘭君はその弊害を知っていて、日本語を読んだり話したりするときはローマ字を避けて、ひらがなで読みたいといっています。そしてできるだけ漢字を使って、言葉のイメージを広げながら日本語を読むように心がけています。今回の受賞もこのことが大きな力になっているのは確かです。
新聞記事はとてもよく書けていると思いました。私の知らなかったこと、お母さんの名前や学校のことまでちゃんと調べて載せていました。下のMOREに、新聞記事をそのまま載せておこうと思います。(タイプの練習のつもりで。笑)

でもって、確かに亜蘭君の才能と、努力と、意欲が今回の受賞をみちびいた大きな要素であることは、間違いないことなのですが、あえて、コーチ・ミチとしてはもう少し付け足しておきたいような気がします。

最初に亜蘭君にスピーチコンテストがあるわよ、出てみれば、とすすめたとき、亜蘭君は涼宮ハルヒが大好きなのはわかっていましたので、9年生のテーマは「わたしの好きな人、My Favourite Person」だから、ハルヒについて話したらいいじゃない、といったのは、もちろんコーチ・ミチでした。最初に彼が書いてきた文章はたったの3文。「ハルヒはぼくのインスピレーションです。ハルヒはぼくにパワーをくれます。ハルヒはとってもオーサムです。」だけでした。これだけじゃ、3分のスピーチにはなりませんから、最初に自己紹介から始めて、ハルヒのどこがどういいかを説明しないといけないよ、といいました。そしてやさしい英語でいくつかスピーチの骨子となる文を書いてあげました。これをできるだけ自分の言葉で日本語にしてみなさい、と。

亜蘭君はこの英語から日本語への訳をとてもみごとにやってきました。小さなノートに2-3枚ぎっしりとひらがなで書いてきました。そこまでいったら、スピーチの骨子はほぼ8割できたようなものでした。あとは文章全体を最終調整して、朗読の練習をするだけでした。たとえば、

「たくさんの友だちや先生がぼくにたずねます。亜蘭君、大丈夫?って。」

という文章の、たずねます、という動詞を自分で辞書を使って調べてきたので、これはグッドでした。GCSEレベルなら、「たくさんの友だちや先生がぼくにききます」でもいいと思ったのですが、かれは、たずねる、という言葉のほうが断然いい、というのです。-ask,-hear,-enquire などの意味の違いを、「聞く」という動詞からつかみとったのでしょう。

「亜蘭くん、大丈夫?って。でもね、ぼくは本当にたいじょうぶだよ。」
というところは、です調で一貫したら、と私はいったのですが、「でもね、ぼくは本当にだいじょうぶだよ」と言いたい、というのです。あんまりフォーマルにしたくない、そのためにはどういう言葉がいいかをよくわかっているのでした。

「皆さんは、涼宮ハルヒを知っていますか?知っている人は手をあげて。」という文は、実は、最終選考に選ばれた後から、新たに含めることにしたのですが、このときも亜蘭君は、「手をあげて。」のほうが、「手をあげてください。」というよりいい、というのです。できるだけくだけた日本語を使いたい、そのほうがアニメや漫画で見聞きする日本語に近いから、ということを感覚的に知っているのですね。クラブに来る時はいつも、「やあみんな、元気かね。」と言ってきたり、別れの時も、「じゃあな」といって帰っていくので、私はいつも笑いが止まらない感じです。先日の授業では、「おまえ、元気か?」と教師の私に向かっていうので、開いた口がふさがらない思いでした(笑)。

以上、亜蘭君の努力と才能はたしかに賞賛に値するのは間違いないのですが、あえて私はもう一言、ここで言いたいのです。

思えば、スピーチの原稿をまとめあげて、朗読を練習させて、休みになっても自宅までおしかけ、自宅が売りに出されているとわかると、養い親のところまで電話をかけたりして、録音をし、MP3ファイルが最後まで再生できない恐れがあったので、2枚のCDを主催者に送ったりして、最初から最後まで亜蘭君のスピーチ出場と優勝に縁の下の力持ちとなって、サポートしたのは、ほかならぬこのア、タ、シ(笑)。コーチ・ミチでした。

亜蘭君との出会い、チームワークによってこの全国優勝ができた、という事実を一人ひっそりと楽しんでいればいい。新聞記事に、指導者の名前もインタビューもなくたってそんなことは全然構わないことなのです。

でもあえて、一言書いておこうと思うのは、物事には裏の裏の裏まであるということ。そして、人生は不思議な縁の結びつきの連続だと言うことを、上の新聞記事でつくづく味合わされたからなのです。

休みに入る前の最後の日、録音しようと約束してたのに、学校でつかまらなかった亜蘭君。本当にアンプレディクタブル(あてにならない)子だと思っていたとき、キャ先生がそこまでして録音する必要はなかろう、ほっておけばいい,みたいなことを、とおりがかりに言われました。そこまで亜蘭君のオッカケをして、弁論大会出場をめざしたコーチ・ミチの心の中はいったいどんなだったのでしょう。

そもそも2003年10月にこのG男子校に勤め始めたとき、当時のステュアート・ハーマン校長(仮名)がミチにこう言われたのです。「この学校に二ッシュを見つけ出して欲しい」と。二ッシュという言葉を私はその時知りませんでした。ステュアートが、この言葉を知っていますか?と聞くので、私は、いいえ知りません、といいました。二ッシュというのはフランス語風の発音なのでしょう、英語では、ニッチ、英辞郎にはhttp://eow.alc.co.jp/niche/UTF-8/
壁の穴、くぼみ、壁の割れ目、と言うような意味だと書いてありました。

要するに、G男子校に日本語教育あり、という存在基盤をしっかりと確立せよ、ということなのでしょう。それが私のミッションだという理解でずっと今日まで努めてまいりました。このハーマン校長は、2年前に(若いのに)周囲をおどろかせながら、ひょうひょうと退職し、特注のボート(船上暮らし)を家族ではじめたとかいうのが、風の便りでした。

そのスチュアートには2度の結婚で5人ほど子どもがいるらしいのですが、2度目の奥さんの長女、19歳のポピーが、なんとなんと、複雑なアレルギーを患っていて、蜂に刺されて治療の甲斐も空しく急死した、と言うニュースが、なんと亜蘭君の記事の上にのっていたのです。こんな運命の皮肉、なんと痛ましい出来事でしょう。そのポピーさんは、H女子校の卒業生で、ロンドン大学で生化学を勉強した後、今年の9月から医学専攻に編入する予定の矢先だったとか。H女子校でも先生や友達が大きなショックを受けているということでした。そしてお葬式が7月19日、月曜日、なんとH女子校が毎年丸一日かけて行う大きな行事、ジャパンデーの日だそうです。この日、ポピーを悼む人たちはピンクの色を身につけることにし、アレルギー対策の組織に贈る寄付金を集めるためのチャリティーマラソンを、同級生や後輩が企画しているのだとか。私もこの日はピンクの服を着ようと思っています。前途ある人の急死ってあまりにも痛ましい。そして、特にステュアートの無念さを思うとたまらなくなります。

"You couldn't find a nicer person than her" 彼女みたいにいい人はほかにいない。
と言うのが、見出しでした。

ほんとうに複雑な思いでこの日の新聞記事を読んだことでした。
これじゃあ、とてもステュアートに亜蘭君の記事を見せるわけにもいきませんからねー。
下のMOREに、亜蘭君の記事全文を、書き写しておきます。




A Character from a manga cartoon may be an unlikely subject to catch the eye of high-flying officials, but a teenager from Axxxx has managed to do just that.

Jxxxx Axxxx has been praised for his language skills after picking up a top award at the Japanese Embassy.

The 13-year-old wowed judges when he spoke about his favourite charactre - and dedicated the win to his late mother.

Amazingly, the youngstre has never set foot in Japan, and has not roots in the country, but that did not stop him picking up the Japan Foundation Key Stage 3 award, after beating off hundreds of competitors from all over the coun try.

His life was struck by tragedy five years ago when his mum, popular Bedgrove Infant School teacher Marion Axxxx , died after a long battle with breast cancer.

The youngster said: "Still to this day I look back and think my mum is awesome.

"She was really good with languages. I guess I didn't follow her exactly because she never spoke Japanese, but I think that's where I got it from."

During the difficult times after his mother's death, he found solace in manga cartoons, and developed a love for Japanese culture.

Jxxxx said: "I don't think I will ever get over it, and I don't want to.

"But manga has helped me through some really difficult times.

"I was a bit dubious giving a speech to really high Japanese officials about a manga charactre, but I'm glad I did."

The Axxxx Grammar School pupil - who now takes Japanese lessons in his lunchbreaks, after picking up the language on his own - plans to take a GCSE in Japanese next year.

He said: "I really love everything about Japan, it's amazing.

"Japanese is a hard language to learn, they reckon that no one person knows every character, because there are so many.

"There's thousands and thousands, and I probably only know a couple of hundred."

Jxxxx was asked to give a speech about his favourite person, and plumped for manga character Haruhi Suzumiya.

"She's very strong and doesn't care what other people think, which is a lot like me," he explained.
Commented by 大崎繁子 at 2010-07-09 22:43
ミチさん!
ミチさんの人生で、これほど満足のいったことは
ないんじゃあないかな~~なんて思っています。
ミチさんの「亜蘭君にスピーチをしてもらうんだ」って言う
あのすごい執着心?による努力がなければ、この喜びは
なかったでしょうね~~~私までうれしくなりました。
写真のカップの色があんなに違っているのが不思議ですね。
光の加減なのでしょうね。(銀が金に)
新聞の記事の上下で、悲しみと喜びが載っていて、両方がミチさんと関係のある方とは、びっくりですね。
Commented by agsmatters05 at 2010-07-09 22:55
繁子さん、いかがお過ごしでしたか?長い文を読んでくださりありがとうございます。私は、亜蘭君を追っかけてあの才能をなんとか生かして、学校の栄誉と結び付けたい、という一心でした。私自身が努力や苦労をしたわけではありませんので、満足感というのは少ないです。むしろ安堵感、かな。

結果が発表されて、喜びの興奮のさなかの亜蘭君が、大使館の人ごみの中で、先生がいなかったらぼくは何もできなかった、と言ってくれましたけど、同じことが逆に、亜蘭君がいなかったら、私には何もできなかった、出場することもできなかったと思うので、これはラッキーな出会いだったと言うことなんでしょうね。まだまだ彼は不安定な成長期、家庭環境が十分な彼の成長を助けられない状態で、こちらはハラハラドキドキがしばらくは続きそうです。
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by agsmatters05 | 2010-07-08 08:22 | Comments(2)

紅茶国で(元)日本語教師(今は退職)。身の回りのいろんなことを気ままにつづっていきます。日常の出来事、イギリス風景、たまには料理や本やニュースや出会った人々のことや、家族のことなど。