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紅茶国C村の日々

オリヴィエ君

5月でさよならした生徒のこと。オリヴィエ・M 君について、ちょっと書いておこうと思います。

こちらの学校には、語学指導助手 というような立場でときどき外国語のアシスタントが滞在しています。
10ヶ月ぐらいの単位で、フランス、ドイツ、ポルトガル、イタリア、スペイン、などの国から、やってきます。大部分は大学生が休学してくるケースが多いようです。わずかな手当てをもらうけれど、ほとんど最低限の生活費程度でしょう。英語研修をかねた異文化体験を兼ねているからかもしれません。

オリヴィエ君もそうでした。パリ第八大学の学生でした。23歳。フランス人。ジェロ君をのっぽにしたようなルックス。

何が彼に日本語学習熱をふっかけたのか、わかりません。日本に短期間滞在したことがあると言っていました。日本の文化やアニメに興味があるとのこと。

去年の10月ごろから、H女子校の放課後の授業に週2回、通ってきました。ふだんは学校周辺地域のプライマリースクール(つまり、小学校)で、フランス語のアシスタントをしていたみたいです。

どういうルートでH女子校の放課後の日本語授業のことを知ったのか、分からないのですが、とにかく、このレッスンに登録してからというもの、ずっと真面目に週2回通い続けて、一生懸命日本語を勉強してくれました。

はじめたときにある程度、ひらがな、カタカナの基礎知識は持っていたようです。最後は漢字もかなりマスターしていました。

5月最後の木曜日の授業をもって、オリヴィエ君は、フランスへ帰っていきました。最後の授業の日、なんかお別れ会みたいなことができたらいいなあと思いながら、ついこの思いが実行できず、何の用意もせずに授業に臨んだところ、オリヴィエ君のほうから、プレゼントをいただいてしまいました。
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とても真面目で、熱心に日本語を勉強してくれたので、頭が下がる思い、って、このことだと思いました。
チョコレートをいただくなんて、あべこべだと思ったのですが、オリヴィエ君いわく、フランスで日本語を個人レッスンで受けようと思ったらものすごく高くつくのに、これまでずっと日本語を(無料で)教えてきてくれてありがとう、ということなんだそうです。

木曜日(5月27日)放課後の8,9年生の授業で生徒らと一緒にチョコレートをいただきました。
オリヴィエ君_e0010856_10254847.jpg


自分で勉強する意志をもっている人に教えるっていうことは、本当に「楽」で、そしてやりがいを感じられることです。「静かにしなさい。」とか、「来週はテストですよ。」とか言って、縛り付けるように、強制的に教える(これは、低学年に多い事例)のではなくて、生徒の側から「これはなんと言うんですか?」とか「この答であっていますか?」とか、積極的に質問してくれる生徒は、本当にすばらしいと思う。

オリヴィエ君、よく頑張りましたね。
どうか日本語の勉強をずっとずっと続けて下さいね。

このブログを見ることもないような気がするので、あえて、実名で書かせてもらいました。

最後に、これも私の Laziness(億劫さ)から、住所も何も聞かずにさよならしてしまいました。日本的な発想ではきっとここで住所交換をするんだろうな、と思ったのですが、こちらの国ではビジネス・ライクで、さっぱりとグッドバイがいいように思ったものですから・・・・。

せめて、このブログで、オリヴィエ君への感謝と激励を、写真と一緒に書きとめておきたい、とおもったのでした。 Merci et Bon Voyage、Oliveir! 

本当は私は彼からフランス語を習いたかった!!!(これが本音。)でもね、日本語の指導時間が減るので、授業中の混同ははまずいと思って、フランスごを習いたい気持は心におしとどめて、抑えておいたのでした。 チャンチャン。 いえ、なに、きっとそのうちに、チャンスがあれば、フランスごだって習えるさ・・・。(ああ、でも、これはかぎりなく嘘に近い、ユメかも、です。笑)

Commented by marri at 2010-06-02 12:50 x
良いお話です!
ミチさん、もっともっと好きになりました。
出会いも、別れも、スッパリしてて武士道を貫いたような!
実名入りで、こんな所(失礼)に登場しているなんて!
彼の事も大好きになったワタクスです。仕事冥利に尽きますね!
Commented by agsmatters05 at 2010-06-02 21:59
ええ、Marriさん、そうなんですよ。どうやらこちらの国の流儀は、個人的なものをすぐ出さない。たとえば、何かをプレゼントしたくても、しない。プライバシーを尊重するために、相手と距離をおく。だから、イギリス人は冷たい、とよく批判されることがありますが、言い換えれば甘えない、ということでしょうか。でも、人助けはもっと積極的にしなければいけない、ということもこの国で習いました。はい、そうなんです。言葉足らず、ですが、とりあえず。
by agsmatters05 | 2010-06-02 02:55 | Comments(2)

紅茶国で(元)日本語教師(今もちょっとだけ)。身の回りのいろんなことを気ままにつづっていきます。日本語教育のほかに、イギリス風景、たまには映画や料理や本やニュースや旅や、家族のことなど。

by dekobokoミチ