2010年 02月 17日
バイバ、パス その6
日毎に、バイバ(口述試験)の山場(修羅場、どたん場、大団円、クライマックス)から遠のいているわけですが、まだまだすべてが完了したわけではありません。でも、2週間以内に送られてくるという正式文書を見るまでは、ホリデーのつもりでいようかと思ってます。(実際、今週は、ハーフタームホリデーですし。)
今日、何度か思い出して、答え方があれでよかったのかどうか、と戸惑うことがありました。
といってもこれは、結果の発表が終ったあとの場面での会話について、なのです。
あらかじめサンドイッチにシャンペンが添えてあったことを知り、どういういきさつでこうなったか、キツネにつままれた感もありました。私自身はその文面を見てないのですが、ある人の言葉では、イグザミナー(試験官)に任命(依頼?)された人は、まず仮綴じされた論文を受け取ったら、1ヶ月以内にそれに対するコメントを書かないといけないらしいのです。そして、その論文がヴァイヴァ(口述試験)に値するかどうか、判定をして学位認定機関に返事しないといけない、とか。
だから、ヴァイヴァの日程が受験生に通知されてきたということは、試験官が合格可能性をみとめたことになる、といってもいいのだとか。
これは、ずっとまえにまぎー先生から言われたことなのですが、OB大の場合、ヴァイヴァ受験者のうち、トップ10%は無条件、無訂正でそのまま合格する。下から10%は、Vivaもなしで不合格となる。のこり80%が、何らかの訂正、追加、削除、等の手直しを要求されて、合格する、というものでした。
だから、訂正が言い渡されれば私はパスだからヤッターもんだ、と思っていました。無訂正なんて私の力量で望むべくもないことは良くわかっていました。
だから3000語の追加という判定は、おそらく私のヴァイヴァでの答弁のあとで、3人の審査官が相談の上、決めたことなのだと思います。
すべての判決文がじぇーん先生から伝えられて、私はその時点ではヤッターの心境に近づいていました。
そのあとすぐに、左隣のいぼんぬ先生が「申しわけない、ごめんなさい、でもこれからすぐヒースローに行かなければならないのよ。昨日は夕方5時まで授業があったし、今日はこれから急がないとヒースローーアバディーンの飛行機にまにあわないの。」と言われました。サンドイッチもシャンペンも、とても時間がないのだそうです。
そして、じぇーん先生がシャンペンを開けようとしたけれど、なかなか開かない。続いてみしぇる先生が、私がやってみるといってかなりあれこれこころみたけれど、開けられないで、とうとうじぇーん先生がケータリング(食堂)に持っていて開けてもらってくるわ、ということになりました。
合計5人で、シャンペンをいただきました。紙皿にサンドイッチやフルーツを取って、みんなで立ったまま、雑談をしました。かれこれ1時間から1時間半ぐらいだったかな。すべて終ったのはたしか2時ごろでした。
気になったこと、というのは、このときの会話のことなんです。論文とはまったく関係のないことでした。
まず、まーりん先生がミチのところに来て、私ずっとまえに大阪の小学校に行ったことがあるのよ、と話を始めました。まーりん先生は教育学の専門で、食と教育の問題をテーマにして、日本(饂飩の国)とイギリス(紅茶の国)の学校給食の比較調査、研究をしたことがある先生で、この二つの国の学校給食のあり方があまりにも対照的に異なることを、どちらにも問題あり、として結論を出していた論文でした。
でもって、そのまーりん先生。
「大阪に行ったとき、行く先々で、会う人、会う人、ずいぶん大勢の日本人から質問されたことがあるのよ。みんな口をそろえて、ロンドンのベイカー街B-22の建物には、今もコナンドイルの子孫が住んでいるのか?ってね。どうして、日本人はみんなシャーロックホームズのことをそんなに好きなのかしらねえ?」
私の返事は一言、「私もシャーロックホームズ、大好きなんです。中学校1年生の時に父親に買ってもらった最初の本はホームズなんです。」というものでした。(これは甲府の古本屋へ一緒に行って、ミチが選んで買ってもらった本でした。中学に入って最初の学期末試験の結果がよかったという理由だったと思うのですが、後にも先にも父親と一緒に甲府の古本屋へ行ったことはこのとき一回限りのことでした。もちろん、ホームズっていいですよね。しびれますよね。あの少ない情報からズバリ推理し、洞察する、切れ味!
すると、それを受けて、みしぇーる先生もじぇーん先生もまぎー先生も、そうよねえ、ワーズワースの生家を訪問するのは日本人ばかりっていうじゃない(みしぇる)とか、ベアトリックスポッターのヒルトップの家も日本人観光客が一番おおいんですってよ。(まぎー)。
その地域の経済にとってはいいことじゃないですか。でも、スイスのオードリーヘップバーンの家(記念館)は、日本人客が多すぎて、閉鎖したんだそうですね。(と、ミチ)
でも、英文学をやったものにとっては、ワーズワースは必修でしたからねえ。(ミチ)
最近の英文学の教科書は、ずいぶん違うわよ。昔とは全然様変わり、思いもかけない作品が出てくるんだから。(じぇーん先生)
センチメンタルジャーニーなんですよ、私もT.S.Eliotの「四つの四重奏」の4箇所を全部巡礼しましたもの。ドライサルベージスなんかボストンの郊外の海へ行って海を眺めただけでしたけどねえ。(ミチ)
というような私の返事は、これでよかったのかなあ、って。日本人観光客がどうしてそう殺到するのかって。
一言、ついつい、言ってしまいました。「だって、いいものはいいんじゃないでしょうか。」なんて。
いったい、こういう場面のこういう会話に私はなんと答えておけばよかったのでしょうか? というのが、今日のこの記事を私に書かせた 記憶のしこり、なのでした。

仮綴じ本なのですが、松山のKAYOYA先生から送っていただいた、Flag Sticker (フラッグ・スティッカー)が大活躍しているところを見ていただけますでしょうか?KAYOYA センセ 本当にありがとうございました。
はじめまして。Takaoさんに薦められてこちらを読みにやってきました。
バイバのパス、おめでとうございます。私もPh.D課程にいるので、バイバのこと、大変参考になりました。また、私も50歳代で再び始めたので、その点で大いに共通点があるかと思います。ミチさんのバイバは、大変リラックスした雰囲気だったようで、良かったですね。私はまだ入り口のあたりで、方法論や、博論でカバーする範囲に関して試行錯誤している状態ですが、ミチさんのように粘り強くがんばりたいと思います。Yoshi
木=ひとつひとつの作品と、森=論文全体を統合するテーマ、のあいだで「短距離マラソン」するのは大変なことでしょうね。しかも、なにもかも英語で読む、しかも時間に迫られたりしたら・・・。
でも楽しくやってくださいね。私はあるアメリカの言語学者から「データを愛せ」と言われたことで、ずいぶん影響をうけました。


