宮部みゆき「理由」

今更なにゆえに?と我ながら思うふしさえあるのですが、読み終わりました。やっぱり大作でしたし、平日は仕事もあり、夜はブリッジもありで、さっさと読み終わるというわけにはいきませんでした。

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C村にメグ(娘ちゃん)が住んでいた頃(2001年から2005年)、彼女がせっせと宮部みゆきの本を読んでました。それで今でもたっぷりC村のステイ先の本棚に宮部が残されています。いつか読もう、いつか読もうと思いながら、なかなか手に取ることができなかった宮部。スエーデン発のミステリー、特にカミラ・ラッカベリを2冊読んで、翻訳本ミステリーの読みにくさを味わったので、ちょっと比較してみたいと思ったのがきっかけでした。

2002年9月に朝日文庫で初刷発行。手元のは2003年2月で、第6刷となっています。文庫本でも619ページの厚み。飛ばし読みなどしたくなかったので、何日もかかりました。

ウイキ様によると、

『理由』(りゆう)は、宮部みゆきの長編推理小説。「朝日新聞」夕刊に連載された。高級マンションで起きた殺人事件を、数十人もの人物を登場させ、ドキュメンタリー的手法で追う。第120回直木三十五賞受賞作。

直木賞には、『龍は眠る』(1991年上期)、『返事はいらない』(1991年下期)、『火車』(1992年下期)、『人質カノン』(1996年上期)、『蒲生邸事件』(1996年下期)と5度候補になり、6度目の候補で受賞となったが、どちらかというと宮部の実績を重視しての授賞であり、「直木賞のあげ遅れ」という批判が多くなされた。


この本が出されて、賞をもらったころ、評判を聞いていただけで、めぐりあいそこなってました。10数年後の今読んで、全然古いと思わせられる節などなかった。ドキュメンタリー的手法、というのがいかにもユニーク。作中人物のとりわけ誰に共感させられるということはないのだけれど、一人一人誰もが憎めなくて、誰もが等距離で描かれている。あえていえば、室井綾子の兄、康隆が一番嫌みのない冴えた人物として書かれていたような気がする。そのほか、小糸孝弘も嫌みがなく描かれている。ほかに片倉信子とか、比較的年齢の幼い(若い)登場人物には、悪さやクセがくっついていない、と思われた。宮部の人間観察が甘くなる部分なのではないか、などと素人考えで勘ぐってしまったりした。

とにかく、出てくる人あの人、この人、みな一癖も二癖もあって、世話物、人情物を語らせたら宮部の本領ここにあり、という思いがした。

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結論。もちろん翻訳文とは比較にならない読みやすさだった。文章の流れはさすが日本人の日本語。まちがいなく読みやすく読めて、「これが本来の日本語だ」という安心感すら覚えた。そのうえ、裁判所の競売物件の買受人と占有屋の問題、ごたごたを含めてよくもまあこれだけのスケールのフィクションを組み立てたものよ、と(素人ながら)舌を巻かずにはいられなかった。宮部、すごい!
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by agsmatters05 | 2017-01-28 10:32 | 本を読んで | Trackback | Comments(0)

紅茶国で日本語教師。でも、身の回りのいろんなことを気ままにつづっていきます。日本語教育のほかに、イギリス風景、たまには映画や料理や本やニュースや旅のことなど。


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