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紅茶国C村の日々

授業スタート

5日(木)は、私の日本語教師11年目の初日でした。

いろいろなことがありました。
なんとか無事におわりました。
どんなに普通の一日でも、同じ日はこの世に二度とない、ですものね。
そして、危ない綱渡りはもしかしたら私の得意技だったかも…(笑)。

今日のフェイスブックで読みました。山本富士子さんの言葉を引用した文でした。

時は過ぎ去るものではなく
心のうちに 
からだのうちに
積りゆくもの

と。

汚れ、ほこり、垢、フケ、ゴミ・・・時とともにたまっていくもの。
髪の毛、爪・・・時とともにのびていくもの。

断捨離を実行中の私としては、一枚一枚の紙を重ねると、おそらく部屋のフロアから天井に届きそうな紙の山を思い出して、ああ「時が積もる」とはそういうことだったんだ、と思い当たったのでした。

「まるごと」ことはじめ
ジャパン・ファウンデーション(独立行政法人、国際交流基金)が2011年に発行した海外の日本語教育用テキスト。まだ一般に市販されてないのですが、試用版をロンドンのJFライブラリーからお借りできました。そして、ウエブサイト版もあったので、とりあえず最初のトピック「にほんご」の第一課「ごあいさつ」。
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動画画面が出てくるまでに時間がかかって、困りました。それから教室のプロジェクターが使えなくて、生徒たちに私のトーサテちゃんをのぞき込んでもらわなければなりませんでした。10年生(14歳)のこのクラス、たった4人なのですが、学年初めはとっても緊張して、はりきっていました。(でも、実は、ここだけの話、一人、どうにも授業妨害をしたくてたまらない子がいて、はらはらでした。初日からちょっと席を移動してるまに床にねっころがったりしてました。ああああ、サイ君!これから1年、おてやわらかにしてくれええええ!

アップセットしたこと。
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次の授業は午後の5時間目。13年生。去年1年間付き合ったクラスです。
実は、何を隠そう、たったの3人だけなのですが。

40日間の夏休みのあとで、去年の3人がそのまま13年生になって再出発、とおもいきや・・・・。実は、とんでもないことがおこっていた、のでした。写真に取り混ぜて、ここに書かせていただきます。この記事と写真とは全然関係ないのですが、とてもショッキングな出来事が。
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12年生から13年生の間の夏休み中に一人が消えてしまったのです。ぱっと君。この謎はまだ解けていません。何が起こったのか、ぱっと君に?

どうして、どうして、どうして????

この部分をMOREに移動しておきます。時間のない方はとばしてください。


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どうかどうか彼の前途を実り多いものに、祝福されたものに、平坦な道、といわなくても努力が報われるものに、してあげてください、か、み、さ、ま・・・・・

この国のこういうところが不思議だと思わずにはいられませんでした。結局全部、個人に帰してしまうというか、あまりにもみんながみんな「なんも知らん」というところにびっくりしている状況です。(じゃ、なんでミチさんはパット君に連絡を取らないの?そうなんです。そうなんですけどぉ・・・。)

ぱっと君のいない二人だけの5時間目でした。そしてこの二人が、カタカナを全然覚えてない。愕然!去年1年間いったい何をやってたの、ミチさん!


もう一つクラスが増える!
この日、バタバタしたもう一つの出来事は、非常勤のパートタイムの私に、急にもう一クラスを持つようにという話がもち上がったことでした。もちろん大歓迎。新たに12年生が4人、日本語を選択したいそうなので、この生徒らに2年間でGCSEを受けさせる授業をしなければなりません。2週間で3回という授業回数(一コマは1時間)なので、かなりきついです。どんな子たちかな。来週の月曜日が初顔合わせとなります。

とまあ書くのは、ほんの2-3分ですが、この話が決まるまでどれだけ大勢のスタッフが時間割を動かしたり、すったもんだをしたことか。なぜなら12年生の時間割というのは、130人一人一人全部違うわけです。そしてこの4人が2週間に3回日本語を勉強するためには、全員共通のの空き時間を探し出さなければならない。もちろんコンピューターが全部やってくれるわけですが、ある生徒のある時間は別の科目が入っている。これを動かすためには、別の科目の先生の承認をえなければならない、そして空いてる教室がどこにある?という具合に、この日一日係りのスタッフ、先生たちは大わらわだったのでした。なんとか決着がついたようで、ほっとして学校を出ることができたのでした。

こんなところも、日本の学校のシステムとはだいぶ違ってます、よね。


というところで、話を変えて。お口直しに。

トーサテちゃんのスタートアップ画面。ちょっと前(8月24日)に撮っておいたものですが、今も、いつも、わがトーサテ君の最初の画面はこんな感じ (↓)です。

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確かにエジプトの気球事故は怖い話でした。でも、トルコのカッパドキアでは、今も毎朝何百という気球が空に舞い上がっているのではないでしょうか。とっても静かで優しい乗り物だと思いました。ボンベの火を噴く音だけがゴーゴーと断続的に鳴り響いていましたけど、今も思い出すのは、空の上は本当に静かな世界(空間)だということ。

































パット君
この学年は高校2年にあたる年齢で、ASレベル (アドバンスド・サブシディアリー)という試験を受けるために一人平均3-5科目を勉強していて、5月から6月にかけて、試験を受けました。そのあいだ、約1か月半、生徒たちはスタディー・リーブと呼ばれる自宅学習期間に入っていて、自分の科目の試験がある日以外は学校に来なくてもいいわけです。そして6月の後半、すべてのASレベルの試験を受け終わった後、学校に戻ってきて、そのあとほぼ4週間ぐらい、いぜんの授業に戻り、日本語の授業も元通り再開していました。ぱっと君は、このクラスの中で断然トップ(といっても、たった3人でしたからそんなに激しい競争があったわけではありませんが)でした。宿題もばっちり、テストもOK,文字も語彙力(記憶力)も理解力も3人の中では最も優秀な生徒でした。真面目で、几帳面、口数はすくなく、おとなしい。ちょっとだけネクラかな、という一面はありましたけど、音楽活動にも熱心で、友だちもいて、読書委員みたいなこともやっていて、、、という生徒でした。一つだけ、去年の学期中に、クラス担任からメールでバーミンガムにいる母方の祖母が重病というニュース、その後やっぱりおばあさんがお亡くなりになって、というニュースが伝わってきたのが、唯一の気がかりといえば気がかりでした。でもそれ以外、申し分のないいい生徒なので、私は唯一のお星さま(A*=エイスター)候補と思って期待していました。

そして夏休みに入り、8月15日木曜日、ASレベルの試験結果が全国的に一斉に発表になりました。彼の日本語はこれには入っていないので、私はあまり深く気に留めていませんでした。今から考えると、その日に、ぱっと君の運命は決まってしまったのでした。

今もスタッフルームの壁に貼りだしてある受験学年全員の試験結果。A*とかAとかBとかCとかとまじって、わずかながらUという評価もあるわけです。 U とは Unsuccessful つまり不合格。ぱっと君はそんなはずないのにこのUをいくつか・・・。ぜったいおかしいとおもいました。よっぽどのことがあったに違いないと思われてなりません。いろんな先生に聞いてまわりました。誰もかれもが「知らない」という返事ばかり。一人だけ、ドイツ語の先生が、前、ぱっと君が11年生の時のホームルーム担任だったのだそうですが、ほんとうに心配顔でたいへん同情しておられました。彼女はぱっと君のおかあさんと連絡があるらしくて、メールをしてみる、と言っていました。何しろ13年生だけでも130人以上いる中で、ぱっと君のことをわかっている人には一人も出会えませんでした。12年生の学年主任にも問い合わせたのですが、首を横に振るばかり。

結局、ぱっと君はこの9月からほかの学校へ移っていったのでした。それが学校の規則だったのでしょう。かれがこの学校に戻ってくる可能性は100%ゼロだと副校長のL先生もきっぱりと断言されました。

交通事故か、家庭のトラブルか、本人の精神的な落ち込みか、とにかく彼はリビジョン(自宅での復習、試験前の最終追い上げ)がまったくできなかった?それにしても、1年間勉強してきた科目だから、よっぽど意図的にUでいこうというような作為が働かない限り、ありえない出来事だとおもわれてならないのです。

by agsmatters05 | 2013-09-08 06:23 | Comments(0)

紅茶国で(元)日本語教師(今もちょっとだけ)。身の回りのいろんなことを気ままにつづっていきます。日本語教育のほかに、イギリス風景、たまには映画や料理や本やニュースや旅や、家族のことなど。

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