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紅茶国C村の日々

N杯(ニホンゴカップ)と亜蘭君。

昨日の続き、亜蘭君物語の続きです。

まずは昨日の出来事を振り返るところから始めてみますね。

A駅の集合時間は朝9時45分でした。10時過ぎの最初の汽車でロンドンに行くという日程を、あらかじめ参加予定の生徒たちに伝えてありました。A市から行くメンバーは、変更につぐ変更で、男子3人、女子一人の合計4人、プラス引率者(リーダー)のミチ。

ちょっとここで、話を長引かせて申しわけないですが、こうなったいきさつを少し書いておくと・・・

前にも書いたことがあるのですが、紅茶国の学校勤めで、生徒を学外に連れ出す、というのは本当に大変なことです。まず学校長の許可をもらわなければなりませんし、そのためには、もろもろの書類をととのえなければなりません(リスクアセスメント・フォームというような)。まずはトリップ(旅行)のプランを立てて、何人がどういう日程で、費用はどのくらいで、誰が責任をもってつれていくかという計画書を最初に作らなければなりません。これはすでに一ヶ月以上前に出してありました。

でも、この計画書を出すためには、誰と誰が行くかが決まらなければ書き込みできない欄もあります。なのに、これはいたちごっこで、計画が許可されるまでは生徒に(表向きは)公表してはいけない、というルールもあるのです。生徒が行くか行かないかは、親の承諾書をもらわなければ、わかりませんし、ほんとうに、ややこしい。だいたいこういうメンバーが行くだろうと想定して計画書を書きます。

(補遺ーG校でニホンゴを教え始めた頃は、ずっと生徒を日本に連れて行ってあげたいと思っていました。でも、最近ではほとんどこの夢はあきらめかけています。ドイツやフランスやイタリアやスペインへ語学研修旅行にいくのとは、ワケが違います。300ポンド(5-6万)で行けるのと、1000ポンド(15万)以上かかるのとでは、比較になりません。それでも、毎年フランスやドイツやスペインやイタリアへ多数の生徒達を引率して語学研修旅行を実行している先生たちはほんとうに大変だろうなあ、と思います。とまあこれは余談でした。)

さらに輪をかけて、今回の行く先は日本大使館。誰でもいつでも簡単に行ける場所ではありません。主催者側のチェックも厳しいので、あらかじめ参加者の名前を届けておかなければなりません。

一ヶ月の間に二転三転して、連れて行くことになったのは、H女子校では、一人は別行動のニコちゃん、もう一人は全行程一緒に行動するドミちゃん、ということになりました。男子校のほうは、将来大学で日本研究を専攻したいといっているので連れて行きたかったジャパンクラブのある生徒が、あいにく志望大学のオープンキャンパスと重なって、行かれなくなってしまいました。最初から名前を登録しておいた子は、前にも大使館のスピーチ大会に参加したことがあるので、誰かほかの希望者があれば自分はキャンセルする、ほかに誰もいなければぼくが行ってもいい、と言ってくれていました。前の日の夕方まで、主催者や、親の承諾書や、二つの学校の責任者、関係者への連絡、調整を続けていました。

だから、9時45分に無事4人の顔を見るまではハラハラものでした。4人のうちの一人の生徒は集合時間に10分ほど遅れて、駅の前でミチが携帯でその生徒の家に電話をかけ、耳に携帯の呼び出し音が聞こえているときに、車で目の前にご到着、という具合でした。ジラ君。

4人とも、クラスも学年もマチマチのメンバーでしたから、行きながらの電車の中ではみんな静かでした。二人は本を読み、一人は音楽を聞き、一人は所在なげにボーッとしてました。私はというと、これも前の日の夕方電話とメールで送られてきた準教頭のD先生からの書類、引率のための注意書きを一通り読んだりしていました。その中に、人数確認(Head Count)は度々行うべし、みたいなことが書いてあり、全部で4人なら、頭数を数えるのも簡単だわ、冗談で、「だれか頭を二つもってる人なんて、いないよね。なにしろたびたび人数確認をしないといけないのよ。」と生徒に言ってみようかなんて考えたりしてました。

マリルボーンという駅から、ベイカーストリートまで一駅。ここで、ジュビリー線に乗り換えて、ふた駅目がグリーンパークです。ベイカーストリートで乗り換える時、あやうく頭を一つなくしかけるところでした。朝10分遅れてきたジラ君。G男子校の13年生。GCSEの筆記と聞き取り試験を前の日(18日金曜日)に受けた生徒。授業はもうないので、13年生は試験を受けること以外は、もう母校に用はないのです。ちょっとヒゲも伸びたまま、制服も着ないで普段着っぽい私服のままの参加でした。(スピーキングテストで、「どんなぼうしを買いましたか?」「デッケエ赤いぼうしをかいました」と答えたあの生徒です。彼は日本研究で代表的な北イングランドのシェフィールド大学へ9月から進学することになっています。自他ともに認めるアニメオタクのジラくんです。とっても気の優しい冗談のうまいジラ君なのですが、ヒトより先に行動するのはまずありえないタイプです。ベイカーストリートで乗り換えようとしてみんな電車から降りたのに、ジラ君は混雑した車内が空いたので空席ができたのをいいことに車内の奥の空席のほうへ歩いて行こうとしているではありませんか!ジラくん! 私は大声でプラットフォームから電車の中のジラ君に声をかけなければなりませんでした。

とまあ、そういうこともありましたが、無事4+1=5人は、グリーンパークの大使館前にたどり着きました。他のメンバーに会う予定の12時半より1時間早い11時半でした。それで、これも予定の行動で、大使館の前のグリーンパークの一角でランチを食べることにしました。
緑が一杯のグリーンパークにはところどころにベンチもあるのですが、5人が横並びに並ぶと少しキツイので、ミチが持参したピングーのピクニックシートを芝生に広げて、丸くなってランチ。一人一人持参したものをたべました。ドミちゃんはパスタ風。Nくんとジラ君はサンドイッチ。そして、2度目の参加のジエリ君は、なんとテスコのお寿司セット。彼は本当に日本食を食べなれている子なんです。お母さんは前に写真にのせたことのある、大きな細まき寿司セットを作ってくださった知日家一家のジエリ君。

5人が車座になってランチを食べていたすぐそばに、象の置物がたくさん並べてありました。(写真)
N杯(ニホンゴカップ)と亜蘭君。_e0010856_8535269.jpg


それぞれのランチを食べたあと、ミチ持参のバナナパンと、トルティリャ・チップスとサルサ。なんだかんだと時間つぶしをして、後から来るはずのニコちゃんにテキストメールで私たち大使館の前にいるよ、と連絡したりして(これは、ミチの携帯を使って、ドミちゃんにタイプしてもらった、そのほうがずっと早いんだもの。)

そうこうしているうちに、12時をすこしすぎました。

でもって、かんじんかなめの張本人。今日の主役、亜蘭君はいまごろどこに?

長くなったので、この続きは次回に、ね。(また読んでくださいね。)




by agsmatters05 | 2010-06-21 08:54 | Comments(0)

紅茶国で(元)日本語教師(今もちょっとだけ)。身の回りのいろんなことを気ままにつづっていきます。日本語教育のほかに、イギリス風景、たまには映画や料理や本やニュースや旅や、家族のことなど。

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