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紅茶国C村の日々

ひな祭りのハプニング(その3、終わり)。長いですよ。

いい天気の日曜日です。3月7日。今は亡き母の誕生日でした。雲ひとつない青空です。窓辺に光がさしているので、また胡蝶蘭の写真を載せることにしましょう。3鉢育てているうちの一つは白(1)、一つは赤紫(2)、そしてもう一つはピンク系(3)で、もう蕾が出始めました。1年に2回咲くのかな。とにかく2年前の10月にルイ・ママからもらった鉢ですが、本当によく生きながらえてくれています。白いのもかれこれ3ヶ月は咲いています。

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さて、ひな祭りのハプニング、その3.これで完結したいと考えています。

3月3日、水曜日、紅茶国、B県A市、H女子校の言語棟(俗称ニューブロックと呼ばれている建物)のL2の教室には、およそ20人の女生徒達が集まってきました。ミチの日本語の授業を選択している生徒達の顔が何人も含まれていましたが、全然知らない学年の知らない生徒達もきていました。

教室前面の大型スクリーンに、メモリースティックに保存したひな祭り用の発表原稿を映し出してすぐにも行事を始めようとしたいたのですが、手元のコンピューターにはパワーポイントファイルの最初のページが出ているのに、大型スクリーンに映像がでないのです。おかしいわね、と気付く間もなく、女生徒の一人がコンピューターの係りの人を呼びに行ってくれたみたいでした。インド系のおじさんが入ってきて、天井にあるプロジェクターをいじったりし始めました。ええっ!?プロジェクターが使えないなんて、そんなあ。何にも説明できないよ。商売あがったりだわ、と内心思いました。それでも、とっさの機転で、じゃあ、先に折り紙セッションからはじめましょう、といって、2枚ずつ配った折り紙で、A4にコピーした折りかたの説明書を見ながら、生徒達に雛人形を折り始めてもらいました。

いいですか。人形はね。顔が命なんですよ。と言って、顔を書き込むところを特別心をこめて書くようにいいました。よくできた人3人に、ごほうびが用意してあります、といいました。たまたまPGCE(教育実習)で来ていた見習い教師の先生たち(といってもみんなベテランなのですが)お2人に審査をお願いしました。もう一人、見知らぬ女性が入ってこられたので、あなたもTrainee Teacher(教師見習い)の方ですか?とどさくさに紛れてたずねると、なんと、「いいえ、私は新聞社のもの。今日の行事の記事を書くためにきたんですよ。」だって。ふつうの中年のおかっぱ頭の女性でした。全然報道関係者なんて思えない服装の人でした。やがてその人は教室の一番後ろに座って、小さなラップトップを広げて何か書き込みをはじめました。

パワーポイントファイルが使えないので、教卓のコンピューターからいきなり、ユーチューブでみつけたひな祭りの唄を、2-3曲、違う伴奏で、違う歌手で、教室に流しました。その歌詞を日本語(ローマ字)と英語で書いてコピーしたものもみんなに配りました。生徒達はごほうびが出ると聞いてはりきって雛人形の折り紙を作っていました。早い子は女雛も男雛も作り終えて、これでいいかとミチに聞いてくるので、個々に応対してあげて、もっと作ってもいいのよ、といって追加の折り紙を渡してあげたりしていました。

そうこうしているうちにコンピューター係りのおじさんが一度いなくなったと思ったら、別のプロジェクターを持って部屋に戻ってきて、ポータブルのスクリーンに投影して、PCのファイルをみんなに見せられるように取り計らってくれることになりました。早く始めたい一心で、コンピューターの前でまっていると、そのとき遠くでベルがなりました。

最初私は気にも留めなかったのですが、え?昼休み時間がもう終わり?とふとおもいました。そんなはずないのに・・・と思っているうち、教室の中のあちらこちらで、そして入口近くにいたイザベルさんも、やだ、これ避難訓練のベルだわ、みんな教室からでないといけない、というじゃあありませんか。

そんな、むちゃな、と思いました。非難訓練だったら、この部屋だけ例外にしてくれないか、と思いました。全員校舎から出ないといけない、というのです。いやおうなしに。

まったく、どうなってるの、この学校は。と思いました。これじゃ全部、今日の行事、丸つぶれじゃんって。

とにかく、コートは着て、ふだん肌身離さず肩からかけているポシェット(お金は入ってない、カードと携帯とカメラとメモリースティックの袋がはいっているだけ)。を持って、廊下をあるいて、図書室の横から外へ出る階段を下りていきました。

とちゅうであちらこちらから校舎外へ出てくる人に会いました。なんでまた、こういう時間に、こういうことになるの?とみんな怪訝な顔つきでした。ふとすれ違った先生たち同志のこんな会話が聞こえてきました。昨日、R校長が、今週中に避難訓練をしないといけないと言っていたけど、まさか、今日昼休みにするなんてねえ。というのです。

これを聞いて私はムットきましたねえ。アノイイング(むかつき)を通り越して、だんだんと怒りが頭にくる感じでした。 Appaling, Ridiculous, Outrageous, Stupid, Disgraceful, 悪口雑言の数々が頭に浮かびました。

とにかく、この警報ベルがなったら、全校生徒一人残らず校舎の中に留まることは許されないのです。全員校舎を離れて、キャンパス北側のグラウンドにクラスごとに整列して、全員の人数の確認を終えるまで、すべての作業も行為もストップしなければならないのです。教員やスタッフは、生徒達とは別の場所に集まって係りの人の数の確認に応じなければなりません。

H女子校でのこの避難訓練なんて、私には初めてのことでした。ふだん、放課後の授業ばかり、昼休みに週2回だけ教えている非常勤の私にとって、水曜日の今日は、本当はこの学校にいる日ではなかったのです。ということは、ジャパニーズティーチャー・ミチの名前はチェックリストには入っていない。だれがミチをチェックするのかも???でした。あっちこっちたらいまわしにしたあとで、あなたは今日はビジター(訪問者)なんだから、学校に入ったときに正面玄関でサインイン(来訪届け)を出さないといけなかったのよ。と言われてしまいました。いままで、そんなことしたことなかったです。それに、たくさんの荷物(おすしや、甘酒や、紙コップを運び込むために、正面玄関ではなくて、ニューブロックに近いキャンパスの横門から入って駐車しておいたのです。

そうこうしているうちに、全校生徒の確認が終ったのでしょうか、教室に戻っていい、という連絡がどこからか出されたようでした。こういうとき、紅茶国の避難訓練って、マイクロホンも使わず、個々人バラバラ、そそくさと、三三五五、それぞれ勝手気ままの集団行動をとっているかのように、執り行われるんですよね。

教室へ戻ろうとすると、イザベルさんに会いました。彼女は完全に頭にきていました。これはもともと彼女の発案で始まった行事と言ってもいいくらいなのですから。その彼女か言うには、これは誰かが間違ってベルを押したことらしい。上層部もだれも予期していなかったことだ、とか。あるいはキッチンからの煙かなんか、とにかくジェニュイン(本当の)警報だったんだ、と。そうでなければ生徒の全員が教室にいるとも限らない昼休み時間に、避難訓練をする意味はないのだと。これがイザベルさんが全員退去中に経理課長のK氏から聞いた話だということでした。

それでも私はまだ半信半疑でした。今週中に避難訓練をしなければ、と言っていたという校長アラン(もうペナルティーは実名)の、これはなんらかの嫌がらせじゃないだろうか。今日の行事のことをいったいかれは知っていたのだろうか・それと何にも知らなくてやったことなんだろうか?

たとえ、誰かのいたずらだとしたら、カメラでも取り付けておいて、犯人を探し出して欲しい、と思いました。イザベルさんはそんなことするお金はない、といっていましたが、これまでにも、間違いベルでこういう非難訓練をさせられたことは何度もあったらしいのです。

そんなこんなで、いらいらさせられた避難訓練が終って全員が教室に戻ってきたのはかれこれ2時10分過ぎぐらいでした。あとの20分。とりあえず、用意しておいたパワーポイントファイルの映像と説明を大急ぎですませなくっちゃ、今日までのアタシの努力はまったく水の泡にもならずに消えてしまう、と思ったことでした。

そして、ひな祭りのいわれ、雛飾りの説明、数々の雛人形の写真を生徒達に大急ぎで見せました。
インターネットで引っ張り出したいろんな雛人形、特に、すずきよし子さんという人のこんな人形(立ち雛)とか、このブログにリンクさせてもらっている薬膳日記のオオニシ先生のこの人形とか。

本当に大急ぎでパワーポイントファイルを終わりまで見せて、最後に今日の女の子のお祝いの意味を生徒達にかみしめてもらうために、締めくくりは、マザーテレサのこの言葉を引用させてもらいました。

# 私は、なぜ男性と女性が全く同じであると考え、男女の間の素晴らしい違いを否定する人たちがいるのか理解できません。
# 女性特有の愛の力は、母親になったときに最も顕著に現れ、神様が女性に与えた最高の贈り物―それが母性なのです。

時間がなくて言えなかったこと、だれでもこの世に生まれて一度や二度は、自分が女でなくて男だったら、って思うときがあるのではないでしょうか。このひな祭りの準備をしている間中、ずっと。長崎時代の同僚、、父はギリシャ人、母はイタリア人、生まれはスイス、小学校はイギリス、大学はフランスで日本文学専攻、という5-6ヶ国語ペラペラの女性アタランタさんがいっていた言葉をずっと思い出していました。14歳の時まで、毎晩祈り続けたそうです。どうか胸が膨らみませんようにって。男の子らしくしていたかったから、って。

男の人でも、長い人生では一度や二度、女性としてうまれたかったなあ、とか、もしも自分が女性だったら、って考えたことがあるのではないでしょうか?ないかな?


最後の締めくくりの言葉は、皆さん女の子に生まれてよかったね。You are lucky!、そして私も今日のお祝いを皆さんと一緒に祝うことができてほんとうにラッキーだと思ってますよ。I am lucky, too.

でした。そうしたら、なんと、思いがけず生徒達が拍手してくれました。これを聞いてちょっとヤレヤレ、と肩の荷をおろすことができました。あとは、生徒達にちに甘酒とひなあられと、ちらし寿司を食べてもらうことが残っていたのですが、なにしろ時間がなくて、もう教室の外には2時半からこの部屋で授業を受ける生徒達が並んで待っているほどでした。飲食は他の人に任せて私は机の上に残された折り紙や雛人形やプリントを片付けるのにおおいそがしでした。生徒らの折り紙にご褒美を上げるための審査の時間もなく、とりあえず一人だけ、ローズちゃんの折ったお雛様のお人形の目つきが、それはそれはかわいらしかったので、ごほうび(人形付きボールペン)をローズちゃんに1本あげることにしました。あとは、もうドサクサに紛れて、お開きとなってしまいました。全部の荷物を取りまとめて、教室から出るときにはもうその教室で次の先生の次の授業がしっかりと始まっていたのでした。

後日談。
翌日






Thank you so much for yesterday, I’m really sorry it didn’t run as smoothly as it could with various events conspiring against you, the feedback I had from girls today was very positive.

きのうはありがとう。予定通りことが運ばす、いろんなことがじゃまだてしてお気の毒でした。生徒達から聞いた反応はとてもいいものでしたよ。


ですって。



ここまでおつきあいくださって、これを長々とお読みくださり、ありがとうございました。

そうそう、次の日、木曜日、女子校で残ったちらし寿司を、G男子校昼休みのジャパンクラブでみんなでしっかりといただきました。ひなあられも、みんなで奪い合いでした。

大量に作った甘酒は今日(3月7日)、一人で全部飲み終わりました。生姜を入れて飲むと美味しいですね。
おすしはまだ残っていて、一部は冷凍にしました。

これを書き終わったので、もうすっかりひな祭りのことは忘れようとおもいます。来年の3月まで。
あ、そうそう、来週の水曜日、この地域の新聞にどんな記事がのるか、ちょっと気をつけてみておきますね。

来週も行事がいっぱいあるので、忙しくてちょっと忘れそうな気もするんですけど・・・・(:D)。
Commented by Yoshi at 2010-03-08 05:09 x
ミチ様、
 ひどい!なんということでしょう!でもとてもイギリスらしくもありますね。そもそもこれだけの準備されたのですから、邪魔が入らなくても、なかなか時間内に終わらないくらいのイベントでしたのに!翌日のクラスのお子さん達、得しちゃいましたね。

私は子供を産むのは相当怖い感じがしますが、女性に生まれていたらおしゃれがもっと楽しめたのに、という点は大いに残念! 
Commented by agsmatters05 at 2010-03-08 06:08
なるほど、Yoshiさんはそうなんですか。ファッション、ねえ。最近では男の方もいろんなおしゃれをしやすくなってきているのではないですか?
時間があったら、出席していた女の子たちに、どんな時に女の子に生まれてよかったと思ったかとか、だれか男の子に生まれたかったと思った子はいるかとか、聞いてみたかったです。残念ながら全然時間がたりませんでした。また、来年にでも(^-^)。
Commented by メグ at 2010-03-08 07:43 x
甘酒、もったいなかったね。私も飲みきるのを手伝いたかったです。
Commented by konatum at 2010-03-08 22:09
ものすごーく手をかけて、用意されたのに・・。
持ち運ぶのも、大変な思いされたのに。
ミチさんの気持ちが 全く無駄になってしまいましたね~。
なんということしょう、ネッ!

新聞の記事、気になりますね。
Commented by agsmatters05 at 2010-03-09 03:49
メグ、甘酒はほとんど無駄にしなかったよ。プラスティックカップに注いでおいて余った分も、もとのケースに戻して、家に帰って沸かしなおして、最後までいただきました。まだすこし酒粕のこってるよ。次の機会まで冷凍しておこうかしらね。
Commented by agsmatters05 at 2010-03-09 03:55
小夏さん、ねえ、頼まれてもないのに張り切りすぎたから、と反省してます。自分勝手につい、草の根国際交流、民間大使気分をエスカレートしたのが災いしました。ま、やれといわれて、いやいやながらやったのではないから、あまりストレスはありませんでしたけど、ね。次からはもっとスマートに、つまりほどほどのところで手を打つことにしたいです。
Commented by Yoshi at 2010-03-09 04:16 x
恐縮ですがもう一回コメントさせて下さい。善意でされたことって、イベントとしては成功しなくても、きっと子供達や職場の方々の心に暖かい想い出として残ると思います!そういう意味ではお手間をかけられただけ大成功でしょう!
Commented by agsmatters05 at 2010-03-09 07:08
Yoshiさん、コメント感謝ですよ。まあ参加してくれた生徒達はわるい思いは残らなかったことでしょう。ただもう少し人数が多くて、時間があれば、「大成功」と言えるかもしれないですが、苦労の割には、生徒数もしゃべった時間もすくなくて、残念でした。ま、これも「人生いろいろ」の中の一コマだったということで。おかげでブログ的には多少盛り上がったかも、ですね(:D).
Commented by marri at 2010-03-09 18:20 x
とんだハプニングでしたね。時間が無くなりましたね。
脇門から運んだ品々、残ってしまったお寿司に甘酒(今は貴女のお腹の中)
なんだか侘しいですけど、そういったお国柄なんでしょうか!
一つずつ、私だったら・・・と考えてしまいました。腹立たしくもあり、流されてしまう現実。
「生徒達から聞いた反応はとてもいいものでしたよ」という事で良しとしましょうか。
記事いかんではまた、続きが有りますね。心静かに聞かせて頂きましょうか^^♪
Commented by agsmatters05 at 2010-03-10 10:09
Marriさん、そうなんです。どんな仕事にも、全面的に協力、貢献していくと、持ち出しの部分もでてきますよね。とりあえず、こんなんでよかったとしておくべきかも、ですね。別に紅茶国中にひな祭りを植えつけようなんてことは毛頭思ってませんからねえ(笑)。長い文を読んでいただいて、感謝です。
by agsmatters05 | 2010-03-08 02:31 | Comments(10)

紅茶国で(元)日本語教師(今もちょっとだけ)。身の回りのいろんなことを気ままにつづっていきます。日本語教育のほかに、イギリス風景、たまには映画や料理や本やニュースや旅や、家族のことなど。

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